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「これを撮ったらどうなるんだろう」
映画『オーファンズ・ブルース』の誕生秘話

撮影:宮城夏子
撮影宮城夏子

―――大学の卒業作品『オーファンズ・ブルース』は、PFF(ぴあフィルムフェスティバル)でグランプリを受賞しました。本作の出演経緯を教えてください。

「工藤監督から直接声を掛けてもらいました。4年生にもなると映画に対する思考が共通している人が集まるようになっていて、キャストもスタッフも自然と集まったメンバーでした」

―――最初に脚本を読んだ時の印象はどうでしたか?

「純粋に凄いなと思いました。同年代の人が書いた脚本をここまで食い入るように読んだことはなかった。『これを撮ったらどうなるんだろう』とか『こんなシナリオを書く人の人生観ってどんなものなんだろう』と思いました」

―――脚本は最初の段階からかっちりしていたのでしょうか?

「割と出来上がってはいたんですけど、リライトの余地もあり、先生を交えて、グループ内で話し合いを行いました。

工藤監督には良い意味でブレないところがあるので、話し合いをするなかで見えてきた、彼女がどうしても譲れないところ、本当に大事にしている部分は残すようにしました。余計な部分を削りつつ、元々のシナリオが持つエネルギーを尊重するようにして撮影稿が作られていきましたね」

―――『オーファンズ・ブルース』の撮影現場での印象的なエピソードはありますか?

「工藤監督とはゼミ製作で何度か一緒になることがあり、僕は役者でなく、スタッフとして参加していたのですが、その時からとても悩みながら演出をする人だなという印象を持っていました。

役者として出演した『オーファンズ・ブルース』では、初めて工藤監督から演出を受けたのですが、対等にぶつかり合い、お互い切磋琢磨して解決に導いていくようなやり方で撮影を進めていけたと思います。現場はとても心地よかったですね」

―――佐々木さんから工藤監督にお芝居や演出の提案をすることもありましたか?

「たまにですが、『こういうのも出来るよ』という提案はしました。でも僕も悩んでいましたし、意見を出すことで彼女の選択肢を狭めてしまうのも良くないなという葛藤もありました」

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