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「みんなが同じ方向を見ていた」
映画『オーファンズ・ブルース』で体感した映画創りの醍醐味

撮影:宮城夏子
撮影宮城夏子

―――先ほど、工藤監督には譲れない部分が明確にあると仰っていました。撮影時にそういう場面に出くわした瞬間はありましたか?

「映画の撮影は時間がタイトですが、学生の現場も例外ではありません。ロケ地の都合などで時間に追われる中での撮影でしたが、それでも彼女は、大事なシーンでは『納得できない。もう一回だけ』と粘る。

強い言葉を発することはありませんが、映画に懸ける思いが、姿勢からヒシヒシと伝わってきました」

―――以前、とある記事で、工藤監督がレオス・カラックス監督の『汚れた血』が好きだと仰っていたのを拝見したことがあります。『オーファンズ・ブルース』の終盤で、佐々木さん演じるアキが煙草を吸いながら踊るような仕草を見せた後、走り出すシーンを観た時に、同作を思い出しました。

「そのシーンは『汚れた血』のインスパイアを受けています。僕も『汚れた血』が好きですし、ドニ・ラヴァンという役者にも影響を受けたので、『ドニ・ラヴァンになってやる!』という気概でやっていました」

―――やはり『汚れた血』のオマージュだったのですね。

「工藤監督には『このシーンはこのイメージ』という形で、撮影前に参考にした映画を共有してくれるんですよ。なので、現場で直接言われなくても『あのシーンをイメージしている
んだろうな』と、監督の意図を自然にくみ取ることができました」

―――『オーフォンズ・ブルース』の経験を経て、役者としての心構えに変化はありましたか?

「ありました。すべてのキャストとスタッフが同じ方向を向いて映画創りに向き合える機会って中々ないと思うんです。完成した映画を観た時に『今後もこうやってみんなで一緒に
映画を創れたらいいな』と心の底から思いました。」

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