最も偉大なアニメ映画は? 日本が世界に誇る傑作アニメ5選。新海誠やジブリだけじゃない。邦画界屈指の天才アニメーターが集結
これまで多くのアニメ作品が、国内独自の風土で育まれてきた日本。日本の貴重な文化の一部であり、お家芸ともいえるそんなアニメには、海外で絶大な人気がある作品も多い。今回は、有名監督が出がけた作品や、直木賞を受賞した小説が原作の作品など、日本のアニメ映画の中でも海外で高く評価されている良作を5本セレクトした。(文・寺島武志)
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劇場版『クレヨンしんちゃん』で傑作を連発
アニメ映画の名匠が描く「死」をテーマにした深遠な青春ドラマ
『カラフル』(2010)
上映時間:127分
監督:原恵一
原作:森絵都
脚本:丸尾みほ
キャスト(声優):冨澤風斗、宮崎あおい、南明奈、まいける、入江甚儀、中尾明慶、麻生久美子、高橋克実
【作品内容】
主人公の「ぼく」は死んだはずだったのだが、天使業界の抽選にあたり、生前の罪により輪廻のサイクルから外され、再生のチャンスを得る。
自殺を図った中学生の小林真の体に“憑依”し、自分の罪を思い出さなければならなくなる。 ガイド役の天使によると、父は利己的で母は不倫しており、兄は無神経な意地悪男だという。
学校に行っても友たちらしい友だちがおらず、話しかけてくるのは変なチビ女だけ。絵を描くのが好きな真は美術室に通いつめる。「ぼく」が真として過ごすうちに、次第に家族やクラスメイトとの距離が変わっていく。モノクロームだった周囲のイメージが、“カラフル”な色々で満ちてくる。
【注目ポイント】
児童文学出身で、数々の新人賞を受賞。その後、繊細な心理描写を描いたYA(ヤングアダルト)小説に活躍の場を広げ、後に直木賞を受賞することになる森絵都の小説「カラフル」をアニメ映画化した本作。
思春期の少年が、生きるという事を改めて考えることになる感動作だ。
監督の原恵一は「シンエイ動画」に身を置き、『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『エスパー魔美』『21エモン』など、藤子・F・不二雄の作品で絵コンテや演出、監督を務め、その後、『クレヨンしんちゃん』の製作に携わり、劇場版シリーズでは脚本も担当した。
2007年に、シンエイ動画を退社しフリーに転身した第1作目が本作であり、日本アカデミー賞にノミネートされ、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭では長編作品部門の特別賞と観客賞を受賞することになる。
大きな罪を犯した上での「死」や、自殺した者の「死」という重いテーマでありながら、魂を授けられた者の使命として、様々な困難に立ち向かっていく姿や作品の色彩美によって、美しい青春ドラマに昇華させている。