日本を代表するアニメ映画監督が描く“理想の母親”

『おおかみこどもの雨と雪』（2012）

出典：Amazon

上映時間：117分
監督・原作：細田守
脚本：奥寺佐渡子、細田守
キャスト（声優）：宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、大野百花、西井幸人、加部亜門、平岡拓真、上白石萌音、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太

【作品内容】

ニホンオオカミの末裔「おおかみおとこ」と人間の女性・花から産まれた雨と雪。幸せな家族として生活していたものの、父である「おおかみおとこ」が突然亡くなる。おおかみ子どもの子育てに悩む母・花は、2人の成長のために人里離れた田舎に引っ越し…。

【注目ポイント】

物語は、娘である雪が、母・花の半生を語る形で進められていく。シングルマザーになってしまった花が、都会の人間社会で受け入れられない中、必死に生き抜こうとする姿が胸を打つ。

子どもの2人も自分が人間か狼かの選択を迫られる場面では、子どもながらに葛藤や苦悩をする様子も、心が締め付けられるシーンだ。

細田守監督による長編オリジナル作品第2作にして、初めて自ら脚本も手がけた作品だ。細田が本作で選んだテーマは「母子愛」。“理想の母親像”を描くことにこだわり、子どもではなく母親を主人公としている。また本作では、初めて細田自身が原作小説を執筆している。

興行収入は42億円を記録する大ヒットとなり、同年には、フランスでも公開された。フランスでは「ディズニーやピクサー作品とは一線を画すアニメーション映画だ」との高評価を得ており、最終的には90を超える国と地域で公開された。

直前の2011年に自身の制作会社「スタジオ地図」を設立し、同作はその1作目だっだだけに、細田が日本を代表するアニメ映画監督として、その地位を確固たるものとした作品でもある。