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小品ながらも質が高い
魚のショボいCG以外は素晴らしい逸品

『釣りキチ三平』(2009)

土屋太鳳
土屋太鳳Getty Images

原作:矢口高雄
監督:滝田洋二郎
脚本:古沢良太
出演:須賀健太、渡瀬恒彦、塚本高史、土屋太鳳、香椎由宇

【作品内容】

釣り名人の一平じいさん(渡瀬恒彦)の指導により、天才的な釣りの才能を開花させた三平(須賀健太)。ある日、アメリカでバス釣りのプロとして活躍する鮎川魚紳(塚本高史)から、“夜泣谷の巨大魚”の伝説について聞かされる。

一行は、伝説の巨大魚を釣り上げるために、夜鳴き谷へと向かう…。

【注目ポイント】

1973年から書き継がれてきた、矢口高雄による釣りマンガの金字塔。TVアニメ版は1980年から放送開始され、人気を集めた。

実写版は2009年製作。米国で活躍するバス釣りのプロ・鮎川魚紳はスランプに陥り、日本に帰国。訪れた秋田県の鮎釣り大会で圧倒的な成績を収めた三平を見て声をかける。意気投合した鮎川は三平家に滞在しているときに、以前から追っていた「夜鳴き谷の怪物」と呼ばれる怪魚の話を耳にする。

ポリコレ全盛の現代ではタイトルだけでギリギリと揶揄されることもあるが、いま読んでも釣りの楽しさと醍醐味が詰まっており、唯一無二の魅力を発揮している『釣りキチ三平』。

定番作ではあるが、特にトピックも無いタイミングで唐突な実写映画化が発表された。しかし、蓋を開けてみると、監督は『おくりびと』の滝田洋二郎、そして脚本は古沢良太と豪華で、キャストも麦わら帽子姿が三平にしかみえない須賀健太、シブさ爆発の一平役に渡瀬恒彦、そしてなり切りっぷりが見事な鮎川魚紳役の塚本高史と、ハマりっぷりが凄い。

自然が眩しいロケと釣りの醍醐味が伝わる描写、三平少年や、高山ゆり役の土屋太鳳の輝き、そして親子愛を絡めた感動の展開など、小品ながらもしっかり作り込んでいて質が高い。

唯一、CGで描かれた魚のレベルが低く、そこだけ釣りゲームのようになってしまうのが残念。

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