「役所広司さんのセリフに青山さんの声が重なった」
2000年代を代表する日本映画の傑作
『EUREKA ユリイカ』(2001)
「『Helpless』(1996)も凄く好きな作品なので迷ったんですけど…。大学に入る前はそんなに映画に詳しくなかったので、入学した当初は、青山さんがどういう人だとかは全然知らなかったんです」
―――大学に入学してからご覧になったのですね。
「そうです。この間久しぶりに劇場でリバイバル上映を観たんですけど、役所広司さんが、宮崎将さん演じる少年・直樹にかける『生きろとは言わん。死なんでくれ』という言葉に胸を打たれました。役所広司さんの声を介して、青山さんに言われたかのような気持ちになったんです。
苦しい時期に観たのですが、『あ、生きないと。最後まで生きよう』と思えました」
―――役所さんの声に青山監督自身の声が重なったのですね。
「不思議な体験でした。もちろん涙も出たんですけど、その場かぎりの特別な感情を引き出されたように感じて。この映画は、こんな風に色んな人を救っているんだなと思いました」
―――捕まってしまう直樹という少年には、少しだけ『裸足で鳴らしてみせろ』(以下『裸足で~』)で佐々木さんが演じた直巳の面影がある気がします。
「そうですね。ちょっと重なる部分もありますね」