シン・ジョンア学歴詐称事件をモチーフにした作品で
“国民の初恋”と呼ばれたスジが新境地を開く
『アンナ(ディレクターズカット版)』
【作品情報】
製作年:2022年
全8話
キャスト:ペ・スジ、チョン・ウンチェ、キム・ジュンハン、パク・イェヨン
【作品内容】
田舎町の貧しい仕立て屋の一人娘ユミは、幼い頃から見栄っ張りで負けず嫌い。学年トップの成績を取るほど勉強はできたが、高3のとき若い教師と交際していたことが問題になり、逃げるようにしてソウルの高校へ転校する。
周囲に溶け込めず、勉強にも身が入らなかったユミは大学受験に失敗するが、親や下宿先には名門女子大に合格したと嘘をついてしまう。そして、ユミが同じ大学の後輩になったと思い込んだ下宿仲間に誘われるまま、彼女が所属するサークルに出入りするように。ここから、虚栄に満ちたユミの偽りの人生が始まっていく。
【注目ポイント】
身分を偽り出入りするようになった大学のサークルで出身地を聞かれると、「父親の事業の都合で米国で暮らしていた」と、まるで空気を吸うように嘘をつくユミ。その後、ある裕福な家の使用人として働いたユミは、その家の娘の名前と経歴を奪い、イェール大修士のイ・アンナとして生きることを選ぶ。
やがてユミは政界入りを目指すIT起業家と結婚するが、野心的で非情な夫のお飾りとして生きる人生に虚しさを覚え始める。そして本物のアンナと偶然再会したことから、自分の嘘がいつ暴かれるのかと不安を募らせていく。
2007年に韓国で一大スキャンダルとなったシン・ジョンア学歴詐称事件をモチーフにしたとされる本作。ディレクターズカット版は、アンナとして生きることにしたユミの内面の変化を丁寧に描いているほか、ユミと同じく貧しさからはい上がった夫の生い立ちや、ユミと周囲の人々との関わりも映し出し、物語に深みを与えている。
ユミを演じたぺ・スジの演技にも驚かされる。韓国では“国民の初恋”と呼ばれ愛されてきた彼女だが、本作では天真爛漫な笑顔を封印し、どこか影のあるユミを見事に表現している。