不審死を遂げた夫の無念を晴らすため
一人息子に望みを託した母の強すぎる愛
『良くも、悪くも、だって母親』
【作品内容】
村で養豚場を営むヨンスンは約30年前、土地整備事業をめぐる陰謀に巻き込まれ夫を殺された。父親の顔を知らずに育った一人息子のガンホは、母ヨンスンの願い通りソウル中央地検の検事となり、父の死に関わった2人に意図的に近づく。
1人はウビョクグループのソン会長、もう1人は父親の事件を担当した検事で次期大統領を目指す国会議員オ・テス。だが、テスが仕組んだ事故によりガンホは車ごと崖下に転落。幸い一命は取り留めたものの、記憶を失って7 歳程度の知能になってしまう。さらに追い打ちをかけるように、ヨンスンが末期の胃がんと診断されて…。
【注目ポイント】
「強く有能な人間になって弱くて貧しい人を助けなさい」と、幼い頃からガンホを厳しく育てたヨンスン。最初はヨンスンのあまりの剣幕に驚くが、そこには不慮の死を遂げた亡き夫への深い愛、夫がその手に抱くことも叶わなかった息子への強い愛があった。物語が進むにつれ、息子ガンホを思うヨンスンの姿に心を動かされる。
ガンホは、母親に対して反発を覚えながらも、「裁判官や検察官になればこの状況から逃げだせる」と必死に勉強に励み、ヨンスンの望み通りやがて検事となる。そこで父親の死をめぐる裁判記録に目を通した彼は、父親が何者かに殺されたことを確信し、その死の真相を探り始める。
ガンホは交際していた幼なじみのミジュに一方的に別れを告げ、ソン会長の養子となり、テスの娘に近づいて婚約にこぎつける。母親にもミジュにも真実を告げず、たった1人で父親の復讐に乗り出したものの、事故により7歳の子どものようになってしまったガンホ。彼が果たそうとした復讐は一体どうなるのか。その行方に注目だ。
これでもかというくらい不幸続きのヨンスンの人生はあわれだが、里長(キム・ウォネ)やミジュの母親(カン・マルグム)、ガンホとミジュの幼なじみで能天気な前科者サムシク(ユ・インス)ら、ヨンスン親子を取り巻く愉快な村の住人たちの存在が一服の清涼剤となっている。シングルマザーとなっていたミジュの双子の子どもたちと、7歳の子どもに逆戻りしてしまったガンホとのやり取りにも心が和む。