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替えの効かない唯一無二の存在感

南海キャンディーズ・山崎静代『フラガール』

山崎静代
山崎静代Getty Images

【作品内容】

福島県いわき市の重要な財源である炭鉱が閉鎖されることになり、続々とリストラされていく人々。そんな状況を打開するために立ち上げられたのが、常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)だった。

そこで披露される予定のフラダンスを踊るダンサーは、地元の女性の中から募集することに。
東京から講師として招かれた平山まどか(松雪泰子)は、集まったダンス未経験の女性たちに、しぶしぶ指導を始める…。

【注目ポイント】

2003年結成の異色の男女のお笑いコンビ・南海キャンディーズ。ボケの「しずちゃん」こと山崎静代は、どんなことがあっても動じない、悠々とした雰囲気と低音ボイスが魅力。忙しない早口の高音ボイスが特徴の相方の「山ちゃん」とのコントラストが笑いを誘う。

彼女に代わる女優は、この日本にはいないのではないだろうか…。観る者にそう思わせるほど、気の抜けたような表情、大きな身長とギャップのある小さい声は、彼女の武器だ。画面の中に彼女がいるだけで、何かが起こりそうな雰囲気が鮮明に立ち上がる。これは映画俳優として天性の資質だろう。

そんなしずちゃんが女優として注目を集めるきっかけとなったのが、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞した名作『フラガール』である。本作では、蒼井優や徳永えりと共にフラガールズの初期メンバーとして、主要キャラクターを演じた。

まず、登場からすでに面白い。小さなお父さんに連れられて練習場にやってくる姿がなんとも言えず、かわいい。謎の笑顔や照れる仕草からは、言葉がなくても、シャイで不器用な性格がにじみ出ており、ついつい応援したくなる。

特段何かを演じようとしなくても、彼女の個性が輝き、物語の中で一つ、笑いや親しみやすさが生まれる。共感を呼び起こす演技は方々から高く評価され、本作で、第30回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。

そんな彼女は、定期的に舞台にも出演しており、その演技力はますます磨きがかかっている。ぜひ機会があれば観に行ってみてほしい。

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