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ソニーが期待するほどの大ヒットまではいかず
3部作の計画が立ち消えに…。

デヴィッド・フィンチャー監督
デヴィッドフィンチャー監督Getty Images

フィンチャー監督の元々の計画は、原作であるスティーグ・ラーソンの人気シリーズミレニアム」の『ドラゴン・タトゥーの女』3部作を完結させることだった。

つまり、2作目の『火と戯れる女』は、本来は製作予定だったのだ。

同じくフィンチャーが監督を務めた映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)公開の後ということと、注目の女優ルーニー・マーラが主演のリスベットを射止めたことが話題となり、世間では映画『ドラゴン・タトゥーの女』の大ヒットを予感していた。

本作の制作、取得、配給行う「ソニー・ピクチャーズ」は、映画『ドラゴン・タトゥーの女』を大々的にプッシュ。原作の人気も考慮し、ソニーは映画『ドラゴン・タトゥーの女』が興行的にヒットし、賞の候補にもなると大きな期待を寄せていた。

しかし、残念ながら計画通りには進まなかった。フィンチャーが映画プロデューサーであるスティーヴン・ザイリアンと共に、続編の脚本内容を練っている最中、映画『ドラゴン・タトゥーの女』の興行成績が低迷。

本作の国内興行収入は1億200万ドル(約149億円)、世界興収は2億3200万ドル(約336億円)。製作予算が9,000万ドル(約132億円)の本作は、ソニーが期待していたようなヒットにはならなかったのである。

また、本作の公開はホリデーシーズンに行われ、映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』、映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』などの注目映画作品と厳しい競争に晒された。

その後本作は、マーラの主演女優賞と編集賞受賞を含むアカデミー賞5部門にノミネート。

しかし、作品賞、監督賞、脚色賞にはノミネートされなかった。

続編の製作は予定されていたものの、脚本の遅れにより2012年8月に製作の遅延に見舞われる。フィンチャーが3部作の脚本執筆を続けている間に、シリーズ4作品目の『蜘蛛の巣を払う女』が発表される。

ソニーはこれを好機と捉え、フィンチャーの率いる高額なプロジェクトを白紙に戻し、フランチャイズのリブートを決断。映画『ドラゴン・タトゥーの女』と同様のキャラクターが登場するが、Netflix人気ドラマ『ザ・クラウン』(2016)でブレイクした女優クレア・フォイがリスベット役を演じるなど、全キャストを一新した。

フィンチャー監督のファンにとってこのニュースは、『ドラゴン・タトゥーの女』続編という興奮の作品が、一転して期待していたものとは大きく変わってしまうという失望のニュースへと変わってしまった。

また、フィンチャーの多くのテイクを撮るその撮影スタイルは、 経済的に良心的な映画監督の製作方法とはほど遠い。そのため、ソニーはフィンチャーとの関係を断ち、別の方向に進むことに決めてしまったのだ。

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