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網走監獄で暴れる鶴見中尉に重なるトニー・モンタナ

『スカーフェイス』(1983)


出典:Amazon

監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:オリバー・ストーン
出演:アル・パチーノ、スティーヴン・バウアー、ミシェル・ファイファー、メアリー・エリザベス・マストラントニオ

【作品内容】

キューバからアメリカに移り住んだ青年・トニー。大胆な彼はギャングの一員となり、やがてボスを裏切る。

そして新たな麻薬王として君臨し続けるが、次第に多くの敵を作り、破滅していく人生を描いた作品。

【注目ポイント】

映画『スカーフェイス』
映画スカーフェイスGetty Images

網走監獄で暴れる鶴見中尉の言動に、映画『スカーフェイス』へのオマージュが確認できる(14巻136話「700人の凶悪犯」、136話「最後の侍」)。

内容を説明する前に、鶴見中尉のキャラクターを簡潔に説明しよう。

鶴見は、日本軍第七師団に所蔵する陸軍中尉。作中ではアイヌの金塊を巡り、主人公・杉元とは対立する存在にある。元は実直な軍人だったが、戦にて大脳前頭葉の一部を失い、それを機に情緒不安定となり、常軌を逸した行動を取るようになる。

一方、元情報将校としての先見性・機転は衰えず、人としてのカリスマ性を持ち合わせているため、部下の人心を掌握している。

問題のオマージュシーンは次のとおりだ。

主人公・杉元達が網走監獄に侵入し、網走監獄の囚人達の檻を開くことで、大混乱が起こる。この場面でカッとなった鶴見中尉は、帝国陸軍の天才的銃器開発者(有坂閣下)が開発した三八式機関銃を持ち、「有坂閣下の“坊や”に挨拶しろ!!」と叫び、囚人達を蜂の巣にする。

このシーンは、映画『スカーフェイス』の終盤、主人公トニー・モンタナ(アル・パチーノ)が、自身の屋敷に集団で襲撃を受けるシーンのオマージュだ。

このシーンでモンタナは、襲撃してきたギャングたちを、マシンガンの餌食にする。しかし、ギャングたちも負けじと、次から次へと押し寄せた結果、抵抗虚しく、モンタナの物語は終わりを告げる。

この銃撃戦は、勝者から敗者へと堕ちていく様を鮮烈に描いているのだが、トニー・モンタナ演じるアル・パチーノの映画史に残る熱演により、帝王のまま息絶える様に、なんとも言えないカタルシスを覚える場面となっている。

クレイジーなトニー・モンタナだが、子どもには優しく、妹思い。ギャップが魅力の人物なのだ。一方、鶴見中尉も、常軌を逸した言動を見せつつも、部下から熱狂的な支持を得ている。

この2人のキャラクター像が重なるオマージュシーンは、『ゴールデンカムイ』、映画『スカーフェイス』、双方のファンとって忘れてはならないマスターピースとなっている。

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