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海外の解釈は日本と違う…? 宮崎駿『千と千尋の神隠し』の海外レビューを紹介。日本アニメ史上に残る名作の世界的評価を考察

text by 編集部

宮崎駿監督が製作した映画『千と千尋の神隠し』(2001)。夢の中のような不思議で壮大な世界、華やかなキャラクターや建物が次々に登場し、多大な人気を獲得した名作。今回は、大人気の映画『千と千尋の神隠し』が、海外では一体どのように捉えられているか、現地メディアを参考に紹介していく。

日本を代表するアニメ映画
海外はどう解釈しているのか?

千尋とカオナシが海原鉄道で銭婆のもとへ向かうシーン© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
千尋とカオナシが海原鉄道で銭婆のもとへ向かうシーン© 2001 Studio GhibliNDDTM

宮崎駿監督。彼は日本国内だけではなく、海外でも多くの注目を集めている。そんな宮崎駿監督が製作した、映画『千と千尋の神隠し』。興行収入316億円を記録。劇場で公開を迎えた2001年から約20年という実に長い期間、国内興行収入1位に君臨。日本を代表する映画作品の一つとなった名作。

しかし、私たちの日本という国の中だけでなく、海外では、どのように捉えられているのか、非常に気になる部分もある。日本文化の一つであるアニメの中でも、最も有名な作品である本作は、日本そのものを表現した作品と言っても過言ではないからだ。

今回は、現地メディアより、映画『千と千尋の神隠し』のレビューやコメントをいくつか紹介し、海外ではどのように捉えられているのかを紹介。まずは、海外の映画サイトでのコメントやレビューを見てみよう。

「英The Guardian」

日本のアニメーター、宮崎駿の魅惑的な長編作品。視聴すると空気よりも軽い気持ちになる。優しく個性的で、抜け目のないキャラクターたちと一緒に、私たちをロケット噴射のように空想の旅へと連れていく。

そんな本作からは、西洋の影響や類似点がたくさんあるのを感じる。例えば、古代ギリシアの詩人ホメロスの『オデッセイ』。『不思議の国のアリス』のルイス・キャロル。『オズの魔法使い』のL・フランク・ボーム。フランシス・ホジソン・バーネットの『秘密の花園』などだ。

それでも本作が独自のジャンルを確立していることは間違いがない。その異質かつエキゾチックな特質は、“日本人”だけではなく海外の視聴者にとってより強烈なものだ。

そしてその全てが手描き。巧みな小ネタギャグや、個性的なキャラクターへのクローズアップ。情熱的で息を呑むパノラマ風景へと切り替わるその軽やかさ。その高い能力をこれほど軽く、無造作に行う映画作品は他にない。夕暮れの水面、霧の中の日の出、月明かりや太陽の光など、視聴者を歓喜の渦に巻き込む。

英語の吹き替え版を視聴することは、コルクの無い、スクリューキャップワインのような、簡易的な体験となる。それはこの映画の楽しみを損なう愚かな行為としか思えない。『千と千尋の神隠し』は、展開がスピーディーで面白く、奇妙で素晴らしい。

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