「日本映画リメイクブーム」の火付け役となった逸品
『LUCK-KEY ラッキー』(2016)
上映時間:112分
原作:『鍵泥棒のメソッド』(2012)
製作国:韓国
監督:イ・ゲビョク
脚本:チャン・ヨンミ
キャスト:ユ・ヘジン、イ・ジュン、チョ・ユニ、イム・ジヨン、チョ・ハンチョル
【作品内容】
本作の原作は、主人公の“成功率100%の完璧な殺し屋”が、アクシデントにより記憶喪失となったことで巻き起こるコメディー映画『鍵泥棒のメソッド』。
【注目ポイント】
オリジナル版の監督はアメリカの大学で映画を学んだ異才・内田けんじ。主演に堺雅人を起用し、香川照之、広末涼子、さらにはムロツヨシが顔写真のみのカメオ出演をするなど、贅沢すぎるキャストを揃えたものの、興行収入は約6億円と振るわなかった。
しかし、日本アカデミー賞の優秀脚本賞を受賞したことからも分かる通り、その内容については高く評価された作品でもある。韓国のみならず、2021年には中国でもリメイクされたことが、それを証明している。
韓国でリメイクされた本作は、オリジナル版から、わずかながら改変がなされているものの、「殺し屋と三流役者が入れ替わってしまう」という根幹の設定はそのままに、主人公のヒョンウク(ユ・ヘジン)を襲うトラブルの連続と、テンポの良いお笑いシーンはブラッシュアップされ、よりエンタメ色を濃くした作品に仕上がっている。
韓国コメディー映画史上最速で観客動員数500万人を突破し、興行収入も日本円換算で約71億円を記録する大ヒット。さらに、フィレンツェ韓国映画祭では観客賞を受賞した。この時期から、本作に限らず、日本映画の韓国へのリメイクが増え、その流れは近年、さらに加速している。
また、その逆として、韓国映画が日本でリメイクされる例も増えている。両国の映画業界が刺激しあい、映画製作が文化交流の1つとして大きな役割を果たしていることは間違いないだろう。