田舎町に住むジョニーと心の優しい青年
ジョニー&ゲオルゲ『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)
上映時間:105分
原題:God’s Own Country
製作国:イギリス
監督:フランシス・リー
脚本:フランシス・リー
キャスト:ジョシュ・オコナー、アレック・セカレアヌ、ジェマ・ジョーンズ、イアン・ハート、ハリー・リスター・スミス、メラニー・キルバーン、リアム・トーマス、パッチー・フェラン
【作品内容】
舞台はイギリスの田舎町ヨークシャー。病気の父親と祖母を抱え、牧場を一人管理する孤独な青年ジョニー(ジョシュ・オコナー)。
ある日そんな彼のもとへ、ルーマニア人の短期労働者であるゲオルゲが現れる。初めは衝突し合う2人。しかし牧場での仕事を通じて、2人は徐々に心を通わせていく…。
【注目ポイント】
本作は、ドイル・ベルリン国際映画祭をはじめ、世界各地の映画祭で高い評価を獲得したラブストーリーである。
田舎町で孤独を感じながら、自身の鬱憤を酒とセックスという自暴自棄な行動で紛らわす青年ジョニー。そんなジョニーの前に現れるのが、ルーマニアから季節労働者として仕事を手伝いに来たゲオルゲ(アレック・セカレアヌ)だ。
初めジョニーは、突然自分の牧場へ現れたゲオルゲに対し、移動型民族を指す「ジプシー」という差別用語を浴びせかけるなど、露骨に毛嫌いする。
しかしある日、瀕死の子羊を助けるゲオルゲの姿を見て、徐々にジョニーは彼の優しさに惹かれ始める。田舎育ちで外の世界を知らないジョニーにとってゲオルゲとの出会いは思わぬ副産物ももたらしてくれる。ジョニーは、ゲオルゲとの出会いをきっかけに、徐々に周りの人間を認め、より人間らしく成長していくのだ。
本作で登場するこの2人の言葉数はそこまで多くない。
しかし、セリフで説明されなくとも、一人田舎町で仕事をする孤独から、ジョニーが解放されていく姿は視覚的に表現されている。本作を観ると、自分の気持ちに素直に生きていくことがどれほど大切なことか、痛いほど伝わる。
素朴なキャラクターと言える2人が徐々に心を通わせ、ジョニーの心が解けてゆくその姿は多くの人の心を掴んだ。