なぜ世界中で共感?スタジオジブリ映画『魔女の宅急便』海外で高評価の理由を徹底解説。人気作『ハリー・ポッター』との比較も
text by 編集部
映画『魔女の宅急便』は、見習い魔女のキキが独り立ちをし、人生の困難や葛藤を体験することで成長していく姿を描いた作品。海外メディアでは、あの人気シリーズ『ハリー・ポッター』よりも先に魔法を題材にした作品であると高評価のようだ。今回は現地メディア米Colliderを参考に、映画『魔女の宅急便』の海外での評価をご紹介する。
ジブリの“魔法”は「生きるためのスキル」
人々のために役立てるもの
ダニエル・ラドクリフ演じる“生き残った男の子”ハリー・ポッターとホグワーツの仲間たちの冒険を描いた『ハリー・ポッター』シリーズでは、彼らの青春と魔法使いの壮大なバトルがパラレルに描かれている。
ポッターたちは、ホグワーツ魔法魔術学校の寮(グリフィンドール、スリザリン、ハッフルパフや、レイブンクロー)に暮らし、期末試験や退学といった現実的な問題に対処しながら、死喰い人(デス・イーター)やヴォルデモート卿の邪悪な力に立ち向かっていく。
そんな『ハリー・ポッター』シリーズは、世界歴代3位の大ヒットを記録。シリーズ通しての累計興行収入は96億ドル(約1兆4000億円)で、記録にも記憶にも残る映画シリーズとなったことは記憶に新しい。
しかし、青春と魔法をテーマとした映画作品は、実は本シリーズよりもはるか昔にすでに作られている。それこそが、宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品『魔女の宅急便』(1989)だ。
本作は、13歳で独り立ちした修行中の魔女キキと人語を理解できる黒猫のジジの物語。舞台は海沿いの小さな街で、普通の人間(マグル)には見つけられない場所にある秘密のコミュニティなどでは決してない。
『魔女の宅急便』の魔女は、古くからの掟で、13歳になると親元を離れて一人前の魔女になるために修行をする。主人公キキは、魔法少女として他の人の役に立とうと苦悩するものの、神秘的な術を学んだり技を練習したりする訳ではない。自身の魔法が地域社会に役立つかどうかを「実地で学ぶ」のだ。