現実社会を生きる人々の哀愁を描き出す
映画を通して魔女のキキは、山あり谷ありの人生を経験する。彼女にとって魔法は、単に新しい呪文を学んだり、魔法薬を調合する以上のもの。不安や期待に押しつぶされそうになっている彼女が魔法を使えなくなるのは、アーティストたちがスランプの中にインスピレーションを見出す経験を反映している。
つまり本作の魔法は、耳触りの良い学問的スキルではなく、自身の情熱に従うことの強いメタファーとなっているのだ。
確かに『ハリー・ポッター』に登場する魔法使いたちの壮絶なバトルは壮観だ。しかし『魔女の宅急便』に登場する魔法は、現実社会を生きる私たちの哀愁を示唆している。
そういう意味で、『魔女の宅急便』は、『ハリー・ポッター』シリーズと比べると、より人間的なドラマを描いた作品であることは間違いない。
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