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興収面では失敗…。
しかし映画批評家はみな大絶賛

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
© 2001 Studio GhibliNDDTM

その後、ラセター自身が本作の英語吹き替え版の制作を担当し、ディズニー映画の常連であるスーザン・イーガン(『ヘラクレス』のメグ役)、デヴィッド・オグデン・スティアーズ(『美女と野獣』のコグスワース役)、ジョン・ラッツェンバーガー(ほぼ全てのピクサー映画に出演)、そして同年映画『リロ・アンド・スティッチ』(2002年)に出演したばかりのデイヴィー・チェイスを起用。吹き替え版は同年のトロント映画祭でプレミア上映され高い評価を得たという。

しかし、それでも本作は全米でわずか151館しか公開されず、初公開時の興行収入はわずか550万ドル(約8億2310万円)だった。その理由は、恐らくジブリ作品の商品化の権利がなかったこともあり、ディズニーが自社作品に重点を置いていたことにあるだろう。ディズニーが期待できる唯一の収入源は、興行収入とソフト発売だけで、プロモーションの優先順位は低かったようだ。

しかし、周知の通り本作は歴史的な名作となった。例えば、映画評論家のロジャー・エバートは4つ星のうち満点を与え、自身の 「GreatMovies (名作映画)」コレクションに加えている。また、映画『ジョーズ』(1975)や、映画『E.T.』(1982)で知られる巨匠スティーブン・スピルバーグ監督は、本作は「アニメーション市場で最も偉大な作品で、私が見たどのディズニー映画作品よりも素晴らしいかもしれない」と語っている。

その後、ほぼ全ての映画批評家が本作を「2002年ベスト・オブ・ベスト」リストに登録するようになり、その年のアカデミー賞では、史上2度目となる長編アニメーション賞を受賞。同賞にノミネートされていたディズニー映画『リロ&スティッチ』や『トレジャー・プラネット』に勝利したのだ。

本作の公開は失敗に終わったが、その影響は今なお生き続けている。今年後半には、映画配給会社GKIDSが毎年恒例の「ジブリフェス」の一環として本作を再公開している(なおディズニー側は再公開について「我関せず」といった態度を貫いている)。

かくして、世界中の観客が絶賛する本作は、米国でも成功を収めたのだ。

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