KAIJUたちの欧米進出
そして、1990年代以降、KAIJUたちは、ついにモンスター映画の本場である西欧に本格的に進出することになる。
先鞭をつけたのはウルトラマンだった。1989年、円谷プロダクションは、アメリカの老舗アニメスタジオ・ハンナ・バーベラ・プロダクションと共同で『ウルトラマンUSA』を発表。アメリカ空軍のアクロバットチームの隊員に乗り移ったウルトラ戦士が、惑星ソーキンからやってきた宇宙怪獣と戦うというストーリーで、同時期の子供向けテレビ映画で第3位の視聴率を獲得した。
海外マーケットに希望を見出した円谷プロダクションは、翌1990年、南オーストラリア州政府の経営するサウス・オーストラリアン・フィルム・コーポレーションと共同で『ウルトラマンG』を合作。そして、本作のアメリカ国内での好評を受け、1993年には、ハリウッドで『ウルトラマンパワード』を制作することになる。
一方、ゴジラに関しては、『怪獣王ゴジラ』の公開をきっかけにアメリカに浸透。1977年には「GODZILLA, KING OF THE MONSTERS」がマーベルコミック誌から発刊され、既に子供たちの人気のキャラクターになっていた。
そして満を持して登場したのが、1998年公開のローランド・エメリッヒ監督によるハリウッドリメイク版ゴジラ『GODZILLA』だ。本作は、同年のゴールデンラズベリー賞の最低リメイク賞に選ばれるなど、ゴジラのデザインの酷さなどから公開時は酷評されたものの、映像面で近年再評価が進んでいる。