ダークな結末にプレビュー上映で大ブーイング

『ゲット・アウト』（2017）

上映時間:104分
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
キャスト:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

【作品内容】

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末、白人の彼女であるローズの実家に招待される。しかし、彼は黒人として、裕福なはずの彼女の家で異様なまでの注目を浴びる。そんなある夜、彼は庭を猛スピードで走り去る管理人や、クリスの姿をジッと見つめる家政婦など、奇妙な使用人の振る舞いを目撃する。“何かが変だ”と感じるクリスは、彼女のローズと共に実家から出ようするが―。

【注目ポイント】

本作は、コメディアンであり、ホラー映画の名手としても知られるジョーダン・ピールの初監督作品。アカデミー賞作品賞をはじめ、数々の賞にノミネートされた名作として知られる本作だが、元々の脚本から結末の展開が大きく変わっている。

主人公であるクリスは、アーミテージ家の人々の魔の手から逃れ、彼女であったローズの首を絞めることになる。そこへ警察が訪れ、クリスが悪者にされそうになるが、そこへタイミングよくクリスの良き相談相手であった友人ロッドが表れ、彼の無罪が証明される。

しかし、元々の結末は、クリスがそのままアーミテージ家の殺害容疑で警察に逮捕されてしまい、オレンジ色の囚人服を着て刑務所に収監されてしまうというものだった。

ピールは、この結末について、バラク・オバマ大統領の就任によって黒人の人種差別を無理矢理終わらせようとするアメリカの風潮に物申したかったと語っている。

しかし、プレビュー上映の観客の心にはあまり響いていなかったという。そこで、ピールをはじめとする製作陣は、バッドエンドな結末を撮り直し、皆が満足できる希望いっぱいのエンディングを作り上げた。