ホーム » 投稿 » コラム » 海外映画 » 盗用で訴えられていた…傑作コメディ『テッド』を巡るトラブルを紹介。大ヒット映画に酷似した知られざる名作とは?

盗用で訴えられていた…傑作コメディ『テッド』を巡るトラブルを紹介。大ヒット映画に酷似した知られざる名作とは?

text by 編集部

ブラックジョーク満載のアニメ作品『ファミリー・ガイ』の作者としても有名なセス・マクファーレン。彼が製作総指揮を務めた映画『テッド』に登場する❝テッド❞が、❝チャーリー❞という別のテディベアに非常に似ているとして、訴訟されていたという。早速その詳細内容を、米Colliderに基づき紹介していく。

セス・マクファーレン手掛ける大ヒット映画『テッド』とは?

セス・マクファーレン
セスマクファーレンGetty Images

撮影地やスタジオが集合する映画の都”ハリウッド”。カリフォルニア州ロサンゼルス西部の都市サンタモニカと、北西部のハリウッドの間には高級住宅地ビバリーヒルズもあり、数多くの映画俳優陣がそこに住む。

そんな映画業界のど真ん中に位置するハリウッド。ここではあることが度々問題となる。

それは、まだ世に一度も現れたことのない、全く新しい映画作品のアイデアを生み出すことである。(脚本家ストライキなどの問題ももちろんある)

映画監督を含め世界中のアーティスト達は、自身が生み出したはずの作品が、実は既に世の中に存在していたという、当人にとって非常に歯痒い問題に度々直面する。

外の世界に、自身が創作したものと全く同じものが既に存在してしまうという問題は、アーティストにとっては、彼らのアイデンティティを揺るがす驚異になり得る。はたまた、同じ考えやセンスを持つ仲間を見つける感動的瞬間になるかもしれない。

彼らクリエイターが生み出すストーリーまたはアイコンに使用するキャラクターや、脚本アイデアなどは、何らかの形で既にこの世に存在しているという可能性は十分あるのだ。

米国のコメディアニメ作品『ファミリー・ガイ』(1999〜)の作者としても有名な、セス・マクファーレン。彼の人気作品となった、映画『テッド』(2012)を巡っては、彼が著作権侵害を犯したと非難を浴びる問題が起きた。

その結果、この人気コメディ映画の続編となる映画『テッド2』(2015)の公開延期の可能性もはらんだ訴訟に発展したことがある。

『ファミリー・ガイ』の勢いをそのままに、俳優や声優、コメディアン、脚本家と多くの顔を持つセス・マクファーレンは、2012年に長編映画監督デビュー作となる映画『テッド』を発表した。

『テッド』は、擬人化されたテディベア(マクファーレン)と、彼の持ち主であるジョン・ベネット(マーク・ウォールバーグ)との友情を描いたコメディ作品。あらすじは次の通りだ。

クリスマスに両親から貰ったクマのぬいぐるみ。ジョンには友達がおらず、そのクマにテッドと名付け「テッドが話せるようになって欲しい」と願いを込める。

翌朝になると、ぬいぐるみであったクマのテッドには魂が宿っており、2人は一生親友でいようと約束を交わす。

人間の言葉を話し、動くテッドに世間は大注目。テッドは一躍有名スターとなった。しかしそれから27年の月日が経ち、ジョンは30代のおじさんに。

テッドは落ちぶれ、汚い言葉を使い、飲酒やセックスをして過ごすという快楽主義的な生活を送る。さらにテッドは、ジョンの恋愛パートナーであるロリ(ミラ・クニス)との関係を邪魔し始める。

子供の頃に愛情を注いできたぬいぐるみが悪態をつき、飲酒や乱交を好むようになるという、唯一無二で魅力的なコンセプトを持つ映画『テッド』。

本作は非常に多くの観客を魅了し、米国内で2億1800万ドル(約330億円)、全世界で5億ドル(約757億円)という驚くべき興行収入を記録した。

マクファーレン監督は、モーションキャプチャーを駆使して主人公のクマ”テッド”を作り上げ、これまでに培ってきたアニメーションの専門知識を生かすことに成功。

マクファーレン自身が司会を務めた、2013 年の第85回アカデミー賞では、彼が作曲を担当しミュージシャンのノラ・ジョーンズが歌った、映画『テッド』の主題歌「Everybody Needs a Best Friend」が、最優秀オリジナルソング賞にノミネート。

世界中では映画『テッド』に沸くテッド・フィーバーが巻き起こり、マクファーレン監督にとっては、実写映画製作への成功作となった。

しかしこの映画『テッド』に、のちに不正が指摘されることとなる。

1 2 3 4