明治維新の動乱をひたむきに生きた
“薩摩おごじょ”の生涯を描く
『篤姫』(2008)
放送期間:2008年1月6日~12月14日
主人公:天璋院
脚本:田渕久美子
原作:宮尾登美子『天璋院篤姫』
最高視聴率:29.2%
主演:宮﨑あおい
【作品内容】
江戸時代末期、薩摩藩島津家の1万石の分家に生まれ、徳川第13代将軍・家定に嫁いだ篤姫(宮﨑あおい)の生涯を描いた物語。家定の死後は出家し、天璋院(てんしょういん)を名乗り、江戸城無血開城に大きな役割を果たすこととなる。
【注目ポイント】
激動の幕末、自らの信念を貫いて江戸城無血開城に大きな役割を果たすと同時に、大奥の女性たちを守り抜く姿が、これまでの視聴層ではない女性からの支持を集めた。
視聴率は、初回から20%以上をキープし、平均視聴率24.5%、最高視聴率29.2%という記録を叩き出し、「幕末ものは当たらない」という大河ドラマのジンクスを完全に壊した、大河ドラマの歴史に名を残す名作だ。
一方で、政の表舞台に立っている武将とは異なり、史料などがほとんど残されておらず、その内容が、史実とは異なると指摘もされた。
しかしこれはあくまでも「ドラマ」だ。しかも時代劇でもある。作品が面白く、より多くの視聴者の心を掴めたのであれば、どこまでが史実で、どこからが創作なのかはさほど問題とはならないだろう。
また篤姫を愛する2人の男性の人気も高い。「うつけ」を演じていた将軍・家定を演じた堺雅人や、篤姫の幼なじみの小松帯刀を演じた瑛太(現:永山瑛太)の演技が高く評価された。
激しく移り変わる時代背景の中で、その激動ぶりを伝えるよりも、「篤姫」という女性そのものにフォーカスしたことで、世の女性たちの心に刺さったのだ。
その陰には、成長とともに大人びていく、大河ドラマ史上最年少の22歳で主演を務めた宮崎あおいの演技と、篤姫という人物を小説の題材として世に放った原作者・宮尾登美子の功績も忘れてはならないだろう。