“ゴジラ史上最恐最悪”のはずでは…?
焼け野原の日本を襲う“弱い者いじめゴジラ”
『ゴジラ-1.0』(2023)
監督・脚本:山崎貴
出演:神木隆之介、浜辺美波、佐々木蔵之介、山田裕貴、安藤サクラ
【作品内容】
太平洋戦争末期の1945年。兵士である敷島浩一は、特攻の途中で零戦が故障したと偽り、大戸島の守備隊基地に着陸する。その日、基地では、伝説上の怪物「呉爾羅(ゴジラ)」が襲来。敷島と整備兵の橘を遺し、全員が犠牲になる。その後、終戦を迎え、日本に戻った敷島だったが、彼の家族は全員亡くなっており、街も焼け野原になっていた。特攻ができなかったこと、家族を守れなかったことに忸怩たる思いを抱える敷島。そんな彼の前に、再びゴジラが現れる。
【注目ポイント】
さて、ラストをかざるのは、山崎貴監督によるゴジラシリーズ最新作『ゴジラ-1.0』に登場するゴジラだ。
ただ、本作に登場するゴジラ、山崎の見事なVFX技術も相まって実に恐ろしいものに仕上がっている。特に敷島たちの乗る新生丸をひたすら追跡するシーンは、スティーブン・スピルバーグの『ジョーズ』(1975年)の要素も感じられ、思わず背筋が凍り付いてしまう。
ただよく考えてほしい。本作の舞台は敗戦直後の焼け野原の日本であり、戦車や戦闘機といった武器も枯渇している。さらに本作では、国家があてにならず、民間の力だけでゴジラに対抗することになる。つまり本作の場合、ゴジラの敵が「シリーズ史上最弱」だ。
そういう意味では、そんな敵に負けたゴジラも実は最弱なのではないだろうか。確かによく思い返してみると、終盤の「ワダツミ作戦」のシーンでは、変な抵抗もせずにあっさりとやられている。ここまで聞き分けが良いゴジラは、正直あまりないだろう。
とはいえ、作中では、ゴジラが核爆発級の放射熱線を吐くシーンもあり、火力は歴代でも最強クラスだ。そう考えると、そもそもゴジラの「最弱」を議論すること自体がそもそもナンセンスなのかもしれない。
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