ストレス社会に生きる現代人の心に刺さる一言
「みんな何かに酔っぱらってねぇとやってらんなかったんだな…。みんな…何かの奴隷だった…」
これは、エレンやリヴァイ属する「調査兵団」と「王政」が対立した「王政編」で登場した人物、そしてリヴァイにとっての育ての親ともいえる存在であるケニー・アッカーマンのセリフだ。
ケニーは、巨人化できるエレンを殺すべきと考える王政側の人間であり、ケニーは「調査兵団」を潰すために発足された「対人制圧部隊」の隊長であり、「調査兵団」の兵士長であるリヴァイとは対立する関係として再会することとなった。
「王政編」終盤、二人は激闘を繰り広げリヴァイが勝利する。ケニーは命からがら退却するが、結局は致命傷を負い、休んでいたところをリヴァイに発見される。その際、二人の会話でいまわの際にケニーが呟いたものだ。
座して死を待つのみという状況で、ケニーはどさくさに紛れて巨人の脊髄液で作られた「巨人化の注射」を手に入れていた。それを使用すれば、巨人となり生命力が上がることで延命できるという状況だったが、ケニーが注射を使うことはなかった。
そして吹っ切れた様に上記のセリフを呟き、注射をリヴァイに託すのだ。
さらにケニーはかつて自分を変えてくれた友人であるウーリという人物のことを思い出し、「友人であるウーリと同じ景色を見てみたい」とも語る。
彼らが戦った際、敗北したケニーに対してウーリは殺すのではなく、命を狙った自分に頭を下げ謝ったことに、心を動かされて生き方を改めるきっかけとなった人物なのだ。そして最終的には友人関係となった。
夢を語る者、神に祈る者、酒や色恋に溺れる者。そして暴力に酔いしれていた自分も、世界の残酷さから目を逸らそうとしていたという点で同じだったという結論を出す。
ケニーが最後に満足した表情をしたのは、ずっと特別だと思っていた友人であるウーリに最後の最後で共感し、理解することができたからなのだろう。満足したからこそ、巨人化してまでの延命を望まなかったのだ。
残酷な世界を生きるためには、何かに酔わずにはいられない。ストレス社会に生きる現代人にとっても、大いに共感できる名言ではないだろうか。