平和ボケした思考に揺さぶりをかける一言
「隣にいる奴が…明日も隣にいると思うか?」
リヴァイが調査兵団所属のヒストリアに、女王への即位を促した際の言葉だ。調査兵団は「王家には巨人から民衆を守る意思がない」と判断し、クーデターを画策する。
そんな折、ヒストリアが王家の血を引いている事が判明する。
リヴァイは現在の王の代わりに、ヒストリアを即位させると宣言した。ヒストリアは突然重責を求められた事に驚き、断ろうとした。しかしなんとリヴァイはヒストリアの胸ぐらを掴み、脅しで従わせようとした。
これにはさすがに、エレンなどヒストリアの同期たちが抗議の声を上げる。しかしリヴァイは「巨人の攻撃が明日にも始まるかもしれない」、「人が死ぬのを防げるなら、俺はどう思われても構わない」と言い放ち、強引にヒストリアの了承を取ったのだ。
人気キャラであるリヴァイが女性のヒストリアに暴力を振るうという、物議をかもしても不思議ではないシーンだ。現に問題があると判断されたのか、アニメではカットとなっている。
しかしそれが却って、リヴァイの「俺はどう思われても構わない」という言葉に説得力を持たせているとも言える。
多くの人はいつか起こるだろう大事件よりも、目の前で起きた小さな事件を問題視しがちだ。それはごく普通の感覚ではあるが、そう考えてしまうのは「大事件はそうそう起こらないだろう」という、平和ボケした思考が根底にあるからではないだろうか。
しかしこれまで何度も巨人と戦ってきたリヴァイは、その平和ボケした思考の危険性を充分に理解している。
巨人の侵攻が始まれば、それは人類の滅亡を意味することになる。そして、それは明日起こってもおかしくない差し迫った危機なのだ。リヴァイはそれを正しく認識していたからこそ、回避するために最善を尽くそうとした行動だった。
確かに暴力は良いことではない。しかし「大事の前の小事」という言葉があるように、時には小さな事には拘らないことも必要だ。
危機感を正しく持ち、優先順位を付けて行動する事の重要性を解いた名言と言える。