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2023年、最も面白かったドラマは? 最高の民放ドラマ5選。未見の人は絶対観るべし…高クオリティーの作品をセレクト

text by 寺島武志

今や配信作品が増え続け、あらゆるタイプの作品を視聴できるようになり、視聴者はその度に鑑賞する作品の選択に迫られる。そんな中、民放ドラマも負けじと魅力のある作品を制作し続けている。今回は、社会現象となった『VIVANT』をのぞき、クオリティーの高かった民放ドラマをセレクト。作品の魅力も解説する。(文・寺島武志)

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バカリズム脚本
中毒性のあるリアリティ溢れるセリフ回し

『ブラッシュアップライフ』

放送期間:1月8日~3月12日
放送時間:日曜22:30~23:25
放送局:日本テレビ系
脚本:バカリズム
最高視聴率:7.1%
キャスト:安藤サクラ、夏帆、木南晴夏、松坂桃李、水川あさみ、染谷将太、黒木華、市川由衣、野呂佳代、鈴木浩介、田中直樹、バカリズム、志田未来、三浦透子、野間口徹、臼田あさ美、塚地武雅、仲村トオル、山田真歩、神保悟志、江口のりこ、浅野忠信

【作品内容】

北熊谷市役所で働く近藤麻美(安藤サクラ)は、親友の門倉夏希(夏帆)と米川美穂(木南晴夏)とともに、地元の「ラウンドワン」で遊ぶのが日常のごくごく平凡な人生を送っていた。

しかしそんな日常だったはずの帰り道、麻美はトラックにはねられてあっけなく死んでしまう。

気が付くと麻美は真っ白な空間にいた。自分の死に困惑している中、死後の世界の案内人(バカリズム)により、近藤麻美として同じ人生をやり直して徳を積めば来世では人間に生まれ変わる確率が上がると言われ、自分の人生をやり直すことを選択する…。

【注目ポイント】

安藤サクラ
安藤サクラGetty Images

バカリズムが脚本を手掛け、主役の近藤麻美には民放ドラマ初主演となる安藤サクラを抜擢したタイムリープ系コメディー。松坂桃李や染谷将太、黒木華など、脇役キャストも豪華で、ドラマ激戦区の日曜夜の番組の中では、その視聴率以上に話題となった作品だ。

「自分の人生をやり直したい」、誰しも一度は考えるであろう永遠のテーマであるが、本作の面白さは、主人公の麻美が一度体験した人生を何度もやり直すという、一見大掛かりな話のように見えるものの、そこで繰り返されるのは、あくまでも平凡な一市民の日常ということにある。

後半につれて、同じようにタイムリープしていたかつての同級生・宇野真里(水川あさみ)とともに、飛行機事故を回避するエピソードなど、タイムリープものらしいドラマチックな展開も用意されていたが、やはりまず日常シーンが面白かったことがヒットの要因だろう。

この何気ない日々の中でも、もっとも重要なのが会話だ。本作は特に会話劇がとても面白い。同級生の夏希と美穂のガールズトークではどうでもいいような会話なのに、それが観ていて心地よく、しかもさりげなく伏線になっていたりと小技が利いていた。

誰しもが持つ過去の後悔を突くような出来事や、リアリティーあふれるセリフ回し一つひとつに、視聴者が思わずのめり込んでしまう中毒性を秘めているのだ。このバカリズムの出色した脚本術、そして本作終了後、“タイムリープ系”のドラマが複数、製作されたことで、その先見性においても実に見事というほかない。

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