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本編より面白い!? 史上最高の予告編は?「架空の映画予告編」の監督chavoが選ぶ珠玉の予告編5選。制作の舞台裏も紹介

text by 司馬宙

YouTube上で広告として挿入される「架空の映画の予告編」が密かに注目を集めている。制作するのは、福岡県北九州市出身の写真家chavo氏だ。元々漫画家としてキャリアをスタートさせたchavo氏だけに、どの予告編も物語としてのクオリティが著しく高い。そんなchavo氏が選ぶ「最高の予告編」5選とは?(取材・文:司馬宙)

【chavo氏 プロフィール】
1983年生まれ。本名は山村武大。2005年に東京総合写真専門学校を卒業。コニカミノルタフォトプレミオを受賞し写真家デビュー。雑誌、企業広告などの写真制作を手掛ける。2009年に第56回ちばてつや賞大賞を受賞し漫画家デビュー。2012年に第1期新人コミックオーディション大賞を受賞し、週刊モーニングやビッグコミックススペリオールなどの商業誌で漫画作品を発表。2023年4月よりYouTubeで「架空の映画予告編監督chavo」チャンネルにて企画・脚本・編集・音声・照明・映像・監督を兼任。

広告は社会を映す鏡—
SNSを逆手に取った”予告編ブランディング”

山村武大監督
chavo氏

——chavoさんの作品はどれもクオリティがとても高いのですが、予告編に着目されたきっかけは何でしょうか。

はじめは映画を制作する予定だったんですが、ネット上で気軽に映画が観れる今の時代に、映画館でわざわざ映画を上映するのはそれなりのリスクがありますよね。ただ、YouTubeやTikTokで長編映画を流したところで、最初から最後まで観る人はほとんどいない。視聴者がストレスなく気軽に作品を楽しめるにはどうすればいいか考えた結果、予告編という考えに至りました。

——予告編の場合、動画広告として流せるのも強みですよね。

そうですね。よく「広告は社会を映す鏡」と言われますが、このシステムをうまくハックすれば自身の表現に対する需要を社会の中で創出できるのではないかと思っています。

——chavoさんは漫画家としても活躍されていて、2009年にちばてつや賞の大賞を、2012年には第1期新人コミックオーディション大賞を受賞されています。ご自身の漫画家としてのキャリアは作品づくりの役に立っていますか。

かなり役に立っていますね。特に週刊連載の場合、「つかみ」がとても大切で、基本的に1話目が面白くないと2話目、3話目…と読者がついてこない。だから、「観客をどうつかむか」はかなり意識して制作しています。

それから、分かりやすさも大事ですね。売れている漫画って、全体のコンセプトが一言で伝えられるんですよ。例えば『ワンピース』だったら、「ゴムゴムの実を食べたゴム人間が海賊王になる」という一言で全体のコンセプトが説明できる。だから、一回観て物語の全容がつかめる作り方を心がけています。

——chavoさんの作品は、周りの人に存在を忘れられてしまう「逆記憶喪失」の男を描いた『42分ヨシノリ。』をはじめ、ストーリー自体が斬新なものが多いですよね。こういった物語はどこから着想を得ているんでしょうか。

コントとか映画からインスピレーションを得ることが多いですね。例えば、一番最初に発表した『名前のない遺体』は、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』(2021)を見た翌日にプロットを書きました。ただ、シナリオ自体は普通の長編映画と変わらず毎回かなり時間をかけています。で、実際撮影する際には、数時間分のプロットを再構成して2分くらいの長さに圧縮しています。

——撮影にはどのくらいの時間をかけていますか。

撮影は大体1日で終わらせますね。役者さんは、Instagramで声をかけて、賛同してくださった方に参加して頂いています。

——予告編の演技指導と通常の映画の演技指導はだいぶ違いそうですね。

そうですね。予告編の場合、役者さんの演技を「切り取る」という形になるので、何より表情と声が重要になります。なので、現場では「抑揚をもう少しつけて」とか、「『あ』の声だけもう少し音程を下げて」とか、そういった演出をしていますね。最近はもっぱら自分のイメージに合う声の役者さんにお願いしています。ただ、役者さんたちは基本的にストーリーを事前に知らないので、かなり演じづらいと思います(笑)

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