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全編POVだからこそ実現できる
世にも斬新な予告編

『クロニクル』(2012)の予告編

主演のデイン・デハーン【Getty Images】
主演のデインデハーンGetty Images

製作国:アメリカ合衆国
上映時間:83分
監督:ジョシュ・トランク
脚本:マックス・ランディス
キャスト:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー、アシュリー・ヒンショウ

——1本目は、超能力を手にした高校生3人組が能力に翻弄されていく姿を描いた『クロニクル』ですね。

この映画の予告編の凄いところは、「時系列を組み替えている」ところですね。この予告編は、主人公たち3人が、他愛のないいたずらを通して、自分たちが超能力を手に入れたことを自覚するところから描かれています。つまり、物語でいうと、「起・承・転・結」の「承」の部分ですね。ただ、3人が超能力を使って事故を起こすという「転」までいくと、急に映像が巻き戻されて「起」、つまり3人が超能力を手にしたきっかけが描かれて幕を閉じる。

3人がなぜ超能力を手に入れたのか、そのきっかけを最後に提示することで、誰もが観たくなるような予告編に仕上がっていると思っています。

——本編が全てPOV(主観カメラ)視点の映像から構成されているというのもポイントですね。

そうですね。「承・転・起」という物語の組み立て方は漫画だと比較的ありふれたセオリーなんですが、予告編にはあまり浸透していなくて、普通だと企画会議でハネられてしまう。しかも、『クロニクル』の予告編は、ナレーションとかテロップも一切ない。なのになぜか見たくなってしまう。そういう意味で、抜きんでた予告編になっていると思いました。

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