キャッチコピーが心に刺さる…
本編の物語を凝縮した”参考書”
『もののけ姫』(1997)の予告編
製作国:日本
上映時間:133分
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
キャスト:松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、小林薫、西村雅彦
——2本目は、スタジオジブリの超大作『もののけ姫』です。
これに関しては、ジブリの広告戦略の妙ですね。『もののけ姫』が上映された当時僕は小学生だったんですが、最後に、ダイダラボッチが立ち上がる映像に糸井重里さんの「生きろ。」というキャッチコピーがオーバーラップして、とても印象に残っていました。
あと、予告編自体もすごく分かりやすいですよね。『もののけ姫』は物語がとても複雑なんですが、全体の流れがとてもコンパクトにまとまっています。しかも作品全体の世界観も予告編に凝縮されている。この予告編で「予習」したかどうかで、作品の理解度が変わってくるかなと思いました。
ちなみに私の予告編の場合もキャッチコピーは重要な要素です。キャッチコピーをいかに盛り込むかで再生回数が大きく変わってきますので、試行錯誤しながら考えています。
——確かにキャッチコピーは大事ですよね。ちなみにジブリの広告戦略といえば、最新作となる『君たちはどう生きるか』(2023)ではキャッチコピーはおろか予告編すら作られませんでした。
凄いですよね。何度でも使える手ではないですが、広告のシステムを見事に逆手に取っていると思いました。予告編があくまで映画に誘導するためのツールであることを考えると「上映しないこと自体が予告編」であるというか。
——そうですね。だからこそ、単なるツールではなく作品として予告編を作っているchavoさんの取り組みが際立つのかなと改めて思いました。