令和版ブラックジャックは残念な出来?
『Get Ready!』
放送期間:1月8日~3月12日
放送時間:日曜21:00~21:54
脚本:飯野陽子、山田能龍、川邊優子、金沢知樹、渡辺啓、長花枝薪
最高視聴率:10.9%
キャスト:妻夫木聡、藤原竜也、松下奈緒、日向亘、一ノ瀬颯、三石琴乃、橋本マナミ、當真あみ、結城モエ、中山麻聖、田野倉雄太、長見玲亜、矢島健一、片山友希、菅原卓磨、吉田涼哉、川本光貴、伊武雅刀、鹿賀丈史
【作品内容】
多額の報酬と卓越した技術でどんな手術も請け負う、「エース」と呼ばれる波佐間永介(妻夫木聡)。昼間は洋菓子店でパティシエを務め、本名を捨て、身分も騙っている。
エースの相棒は、「ジョーカー」と呼ばれ、交渉役を務める下山田譲(藤原竜也)と、「クイーン」と呼ばれ、看護師として、波佐間の手術のサポートをする依田沙姫(松下奈緒)。彼らが闇医者チーム「仮面ドクターズ」を組む。
波佐間が手術を行うかどうかを決める基準は報酬の額でなく「その患者が生き延びる価値があるのか」だ。素顔を隠し、日本国内の医療技術では不可能な手術は、エースの「Get Ready」の一声で始まる。
【注目ポイント】
まるで“令和のブラックジャック”のような設定で、単なる医療ドラマの枠を超えた独特の世界観を湛えたストーリーだ。
社会派ドラマや企業系ドラマが多いTBS「日曜劇場」枠で放送され、初回と第2話こそ、2桁の視聴率をマークしたが、徐々に失速し、最終回の視聴率は6.4%にまで落ち込んだ。
監督には斬新な撮影手法で知られる堤幸彦を迎え、6人の脚本家による一話完結のオリジナルストーリーのドラマだが、あまりにも現実離れした荒唐無稽な設定と、ワンパターンのストーリーで視聴者を繋ぎ留めることが出来なかったのが敗因と推測される。
また、覆面をした「ジョーカー」こと下山田が、突然、患者の目の前に現れ営業をかけるシーンが、“まるでヒーローものの劣化コピー”と揶揄され、視聴者離れを招く。第8話に波佐間の過去が描かれたことで、ようやく感情移入できるキャラクターとなり、評判が好転するが、“時すでに遅し”だった。
しかしながら、妻夫木聡の魅力が前面に出されており、「Get Ready!」と呟き、オペに向かう姿は掛け値なしに格好良く、最新鋭AIを搭載した手術室のシーンには、近未来の医療を垣間見るようで、本作の見どころの1つだったことは強調しておきたい。