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MI6の元メンバー

第4位 ドミニク・グリーン(『007/慰めの報酬』)

俳優のマチュー・アマルリック
俳優のマチューアマルリック Getty Images

 

7代目ボンドのダニエル・クレイグは、『007』シリーズに厳格なリアリズムを導入し、シリーズを変革した人物として知られている。

そんな彼が対峙する悪役で印象的なのは、『007/慰めの報酬』(2008)に登場するドミニク・グリーン(マチュー・アマルリック)だ。彼は、世界的な環境慈善団体「グリーン・プラネット」の代表を務める一方、裏ではCIA南米支局や英国政府と取引をし、ボリビアの天然資源の採掘権利独占や南米におけるテロ活動を支援してる。

また、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)から『007 スペクター』(2015)まで、9年の長きに渡りボンドの宿敵であった国際的犯罪組織「スペクター」幹部のミスター・ホワイトも彼の宿敵だった。

近年の人気俳優で言うと、クリストファー・ノーランの新作『オッペンハイマー』(2023)にデビッド・L・ヒル役で出演し注目を集めるラミ・マレックが、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)で、控えめながら破壊的、静寂の中に狂気を隠し持つ犯罪首謀者リュートシファー・サフィンを好演。さらに、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023)でドラックス・ザ・デストロイヤーを演じたデイヴ・バウティスタも、『007 スペクター』で巨体と怪力の持ち主であるミスター・ヒンクスを演じている。

また、映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)で元ナチスの科学者を演じた俳優マッツ・ミケルセンは、クレイグ初主演の『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)で不吉な数学の天才ル・シッフルを演じ、のちの悪役たちのハードルを著しく上げている。

さて、これまで紹介した悪役たちはみな素晴らしいが、クレイグ時代のボンド映画で最も突出した悪役と言えば間違いなく『007 スカイフォール』(2012)でMの復讐を狙うサイバーテロリスト、ラウル・シルヴァが挙げられる。

シルヴァ役のハビエル・バルデムは、実写版『リトル・マーメイド』(2023)のトリトン王役で知られるが、本作でオスカー賞級のキザな演技を披露。Mに対する愛憎相半ばした複雑な心情を見事に表現している。

シルヴァは元々MI6のメンバーで、Mに目を掛けられていた優秀なスパイだった。しかしある日、彼はMの手でMI6から解雇され、Mを一方的に憎みはじめる。

Mへの忠誠心が揺らぐボンドと、ボンドであったかもしれないシルヴァ。Mの”2人の息子”の対面シーンでは、シルヴァが何故Mに復讐するようになったのか、丁寧な説明がインサートされる。そのため、悪役のはずのシルヴァに感情移入してしまうファンも多いのだ。

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