4代目ボンドを食った名悪役
第2位 ジョーズ(『007 ムーンレイカー』ほか)
ロジャー・ムーア版の『007』には、『007/死ぬのは奴らだ』(1973)に登場する麻薬界隈の大物Mr.ビッグや、『007/美しき獲物たち』(1985)に登場する愉快で奇妙な青年実業家マックス・ゾーリンなど、数々の名悪役が登場している。
また、クリストファー・リーも、『007/黄金銃を持つ男』(1974)でタイトルの由来にもなっている正体不明の殺し屋フランシスコ・スカラマンガ役で魅力的な演技を見せた。彼は、ボンド同様冷酷な殺し屋だが、ボンドと違って正義の味方ではない。
確かにこれらの悪役たちはみな魅力的だが、洗練されたルックスとユーモアが魅力の4代目ボンドにはどんな敵わない。
しかし、そんな中、唯一ムーアを”食った”悪役がいる。それが、リチャード・キール演じるジョーズだ。
金属の歯をもつこのキャラクターは、登場するやいなやファンの間で話題となり、『007 ムーンレイカー』(1979)で続投。さらに『007/私を愛したスパイ』(1977)では海運王カール・ストロンバーグの下で働く従業員として、『007 ムーンレイカー』では科学者で富豪の実業家ヒューゴ・ドラックスの宇宙ステーションのスタッフとして再登場するなど、『007』シリーズに欠かせない存在となった。
ジョーズの人気の秘訣。それは、ボンド映画のユーモアあふれる雰囲気にフィットしたことが挙げられるだろう。風変わりで少し毒があるからこそ、後年まで愛されるキャラクターになったのだ。