実は宮崎駿のベスト映画? 海外から見た『紅の豚』真の評価とは? 徹底考察。ポルコはまさかの…隠されたテーマを深掘り解説
text by 編集部
これまで23本の長編アニメーション作品を世に送り出してきたスタジオジブリ。中でも1992年に発表された『紅の豚』は比較的評価の高い作品として知られている。しかし本作、一部ファンからの人気は著しく高いものの、知名度は他の作品に比べて劣るのもまた事実だ。今回は、米Movie Webを参考に『紅の豚』に対する海外の反応を紹介しよう。
戦闘機パイロットの旅物語
『紅の豚』のストーリーとは?
10年ぶりとなる新作『君たちはどう生きるか』(2023)で映画の世界に舞い戻ってきた宮崎駿。30年以上に渡りアニメーション業界に君臨し、かずかずの名作を生み出してきた宮崎だけに、そのフィルモグラフィから最高の一本を選出するのは至難の業だ。しかし、『紅の豚』を彼の最高傑作に選ぶジブリファンは少ないのではないだろうか。
本作は、1989年に宮崎が発表した『飛行艇時代』を原作とした冒険ロマンス作品。第一次世界大戦のイタリア軍のパイロットだった主人公ポルコは、とある事情から軍務を離れ、フリーの賞金稼ぎとしてヨーロッパ中の空賊を狩る日々を送っている。
ポルコが他の飛行機乗りと違う点は、豚の顔をしているということだろう。彼は元々人間だったが、とある呪いによって豚の姿に変えられてしまったのだ(なぜ彼が豚になってしまったのかは明らかにされていない)。
本作の魅力は、なんといってもポルコをはじめとするキャラクターたちだろう。本作では、ポルコをはじめとする人物の描写を軸に悠然と物語が進んでいく。
例えば序盤では、ポルコとその敵である海賊たち、そして、海賊たちの頼みの綱でありポルコのライバルでもあるドナルド・カーチスとの対決が実にゆったりと描かれる。アメリカ人であるこのパイロットはポルコの仕事をとことん邪魔する存在で、やがて2人の関係はクライマックスの決闘シーンへと発展していく。