キャラクターの個性を引き立てる
物語の「純粋さ」
本作に登場するキャラクターたちはなぜこれほど個性的なのか。それは本作が「純粋な」作品であることが挙げられるだろう。
まず、本作はクラシカルな冒険活劇だ。その作風は陽気な精神と昔ながらの楽観主義を兼ね備えており、『カサブランカ』(1942)や『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981〜)を連想させる。
また、本作はロマンあふれる人間ドラマでもある。
ポルコは戦時中、仲間の飛行士を差し置いて1人生き残ってしまった羞恥心から、祖国に背を向けてしまっている。彼はホテル・アドリアーノ経営者の幼馴染ジーナが自分に心を寄せていることに薄々気づきながらも、その愛に自分が見合う存在であるとは考えていない。
しかし彼は、最終的に彼を慕う若い技術者フィオの力を借りて皮肉屋な画面を脱ぎ捨て、再度人生で大切なものを守るために戦う選択肢をとる。彼は過去のトラウマを払拭することで、純粋なヒーローへと回帰するのだ。