ホーム » 投稿 » コラム » 日本映画 » 実は宮崎駿のベスト映画? 海外から見た『紅の豚』真の評価とは? 徹底考察。ポルコはまさかの…隠されたテーマを深掘り解説 » Page 4

反戦映画としての『紅の豚』

© 1992 Studio Ghibli・NN
© 1992 Studio GhibliNN

また本作は反戦映画でもある。平和主義者である宮崎は、『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞外国語映画賞を受賞した際、アメリカのイラク侵略に抗議して授賞式への出席を拒否したように、一貫して戦争やファシズムを批判し続けてきた。

こういった宮崎の思想は本作でも受け継がれており、作中では、軍の指導者たちがポルコの軍への復帰を条件に恩赦を与えることを約束した際、彼は「ファシストになるよりは豚の方がマシさ」という名台詞を口にする。

そして本作は「贖罪」をめぐる映画でもある。

『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』(1997)で、白黒はっきりつけられないグレーなヒーローや悪人を描いてきた宮崎。本作では決闘の最中に、悪役であるはずのカーチスが、ポルコにジーナが彼を愛していることをそれとなく伝える。そして、この言葉をきっかけにポルコは自分自身を許し、自分が幸せになる選択を下すのだ。

これまで数々の名作を送り出してきた宮崎駿だが、本作が顧みられないのは実に残念だ。軍人のサバイバーズギルドと贖罪を探求した本作は、『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』同様に名作と呼ばれるにふさわしい作品なのだ。

【関連記事】
ポルコはなぜ豚に…その深い理由とは? 映画『紅の豚』徹底考察。 実在するヒロイン・フィオのモデルは? 宮崎駿の演出も解説
実は恐怖映画…? カオナシとハクが象徴するものとは? 映画『千と千尋の神隠し』深掘り考察。海外レビューを紹介
これは惚れる…! 最高にかわいいジブリヒロイン5選。声優は誰? 老若男女に愛される名キャラを解説

1 2 3 4
error: Content is protected !!