2023年秋ドラマで最もブレイクしたお笑い芸人は? 勝手にキャスト表彰式。意外な演技力で周囲の見る目を変えた芸人を選出
近年、ドラマや吹き替えなどに芸人が多く出演し、話題となっている。それはコント師に限らず漫才師やピン芸人の姿も多い。彼らの圧倒的なキャラや存在感によって作品をより色付かせることに成功している。今回は、秋クールの地上波ドラマに出演し、物語に深みを与えた芸人達を独断で選出。その功績を表彰させて頂く。(文・あまのさき)
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ヒリつく空気も和ます丁度いい存在感
殊勲賞:マシンガンズ・西堀亮
秋クールのドラマが続々と最終回を迎えている。注目作が期待を裏切らぬラストを迎えたり、意外な作品が多くの人の心を打ったりと、今季もドラマファンを大いに楽しませてくれた。
“本職”である俳優陣はもちろんだが、アイドルやアーテイストなど、普段はお芝居ではない分野で輝きを放つ人々の奮闘も見逃せない。彼らのエッセンスとしての役割にフォーカスするのもまた、テレビドラマをはじめとする映像作品を観る楽しみのひとつ。
今回はその中でも、「芸人」にスポットを当て、「殊勲賞」「敢闘賞」「技能賞」、そしてMVPという形で振り返りたい。
まず1人目、殊勲賞に挙げたいのは『コタツがない家』(日本テレビ)に出演したマシンガンズの西堀。
12月20日に最終回を迎えた本作は、主人公で敏腕ウェディングプランナー兼会社社長の深堀万里江(演:小池栄子)が、夫・息子・実父の“ダメ男”3人を養うというホームコメディー。
金子茂樹脚本作品らしく軽快な会話劇が魅力で、お腹を抱えて笑えるシーンもあれば、ほろりとさせられるシーンもあり、まさに心のビタミンのようなドラマだった。
この中で西堀が演じたのは、万里江の父・達夫(演:小林薫)のバイト先の同僚・熊沢徹。工事現場の警備員として、並んでお昼ご飯を食べる“箸休め”的な役割を担うのかと思いきや、後半にかけて存在感が増していく。
達夫の恋愛にまつわる紆余曲折に巻き込まれたり、最後に達夫が自室にサウナを買うきっかけを作ったりと、ある種キーパーソンのようでもあった。
西堀の魅力はなんといってもその表情。深堀家に空想上のゴングが鳴り響き言い争いが勃発しても、西堀演じる通称“熊さん”がいるだけで、なんとなく和む。
話を振られ、口をとがらせながら何かをぼそりと話せば、もうそれだけで「なんでこの人たち言い争ってたんだっけ?」という空気になる。達夫が必要以上に家に熊さんを連れ込むのも納得だ。
今年5月に開催された「THE SECOND」で準優勝を果たし注目を浴びた西堀。実はすでに、ドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ・2016年)や『母になる』(同・2017年)、本作と同じく金子茂樹が脚本を務めた『俺の話は長い』(同・2019年)にコンビで出演するなど、ドラマとは縁があるようだ。今後のますますの活躍に期待が高まる。