アイドルの”闇”になぜ共感? 男性より女性ファンが多いワケ『【推しの子】』考察レビュー。社会現象アニメの魅力を解説
『週刊ヤングジャンプ』にて連載中の漫画『【推しの子】』。アニメ版の1期は2023年に放送され、2024年には2期の放送も決定している。今回は、令和を代表する人気アニメの魅力を多角的な視点から読み解くレビューをお届けする。(文・唐梨)【あらすじ 解説 評価 考察】
————————–
アニメ『【推しの子】』とは?
赤坂アカ×横槍メンゴの豪華タッグで2020年から『週刊ヤングジャンプ』にて連載中の漫画が原作のアニメ。1期は2023年に放送され、2024年には2期の放送も決定している。
特に1期のオープニング主題歌となった『YOASOBI』の『アイドル』は、YouTube再生回数3億回超えという驚異的な数字を叩き出し、社会現象にもなった。
アイドルモノと転生モノとミステリーモノが掛け合わさったストーリー展開が特徴で、大人気アイドルのアイの双子の子どもとして生まれたアクアとルビーが、実は前世の記憶を持つ転生者で、芸能界を駆け上がりながら、何者かに殺された母親の真相を探る…。
アイドル戦国時代において『【推しの子】』はなぜ大成功したのか?
『推しの子』が大成功した理由はなんだろうか。大きく分けて、社会的背景による理由と、作品自体の特徴による理由の2つに大別できると思う。
まず社会的背景について。芸能界の状況は、ここ十数年で大きく変わった。スマホが世に出たことで、芸能人になるルートはオーディションや街頭スカウトだけではなくなり、YouTubeやTikTokでバズれば仕事のオファーが来ることも当たり前になった。
また、それらと反比例してTVの持つ影響力は下がり、昔ほどには「この有名番組に出演できれば絶対安泰」という神通力はなくなったように思う。今は、スマホさえあれば、いつでもどこでも芸能コンテンツに触れることができ、いつでもどこでも芸能人についての感想をSNSで拡散できる。
以上は芸能界全体の話だが、アイドル業界だけに絞っても、2005年のAKB48結成を嚆矢(こうし)に、地下アイドル、ご当地アイドル、声優アイドル、韓国アイドルと数多くのアイドルグループが群雄割拠を繰り広げるアイドル戦国時代となった。しかも、ソロアイドルではなくグループアイドルが主流なので、必然的にアイドル人口は増えていく。
さらに、アイドルの卒業年齢もどんどん高年齢化していき、昔は10代のうちに卒業するアイドルも少なくなかったが、今では20代後半まで活動し続けるアイドルは決して珍しくない。
特にハロー! プロジェクト界隈では少し前まで、どれほど長く在籍しても25歳前には卒業していたことから「25歳定年説」という仮説が囁かれていたほどだったのだが、近年は次々とその説が覆されている。