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勝新作品ファンから大ブーイング

『座頭市 THE LAST』(2010)

香取慎吾
香取慎吾Getty Images

上映時間:132分
監督:阪本順治
原作:子母澤寛
脚本:山岸きくみ
キャスト:香取慎吾、石原さとみ、工藤夕貴、寺島進、高岡蒼甫、井浦新、ZEEBRA、加藤清史郎、宇梶剛士、柴俊夫、反町隆史、豊原功補、岩城滉一、中村勘三郎、原田芳雄、倍賞千恵子、仲代達矢

【作品内容】

天保年代に活躍した按摩を生業とする渡世人にして盲目の居合抜き名人にして、諸国を旅しながら悪人を倒していく名作アクション時代劇シリーズである『座頭市』。

子母沢寛による原作「座頭市物語」を基に、1962年、勝新太郎主演で『座頭市物語』のタイトルで映画化されて以来、26作品にわたるシリーズが公開された。

【注目ポイント】

“座頭市=勝新”と呼ばれるまでに、座頭市は勝のライフワークともいうべき作品だが、1989年には米国版リメイク作『ブラインド・フューリー』が公開、2003年には北野武監督がリメイク、2008年には曽利文彦監督を迎え、主演・綾瀬はるかをキャスティングし、座頭市を女性に置き換えたリメイク作『ICHI』が公開された。

しかしながら、この中で商業的に成功したのは、座頭市を金髪にするという斬新なキャラクター設定で臨んだ北野武のみ。北野版『座頭市』はヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞したのみならず、興行収入28億5000万円のヒットを記録した。

そこに敢然と挑戦したのが監督に阪本順治、主演に香取慎吾を迎えて製作された本作。あえてリメイクではなく、「リブート(再起動)作品」としての作品だった。

映像化権を持っていた製作会社代表の中澤敏明氏が、映像化権を原作者の子母澤寛の遺族に返上することを表明し、中澤は「この先いかなるメディアでも『座頭市』を映像化することはない」と宣言した上で製作された。

主演の香取慎吾に罪はないが、彼を主演に抜擢したことによって、“ジャニタレ映画”というレッテル貼りがなされ、作中の居合シーンでの殺陣の練習不足を指摘されることになる。

脇を固めたキャストによって、何とか時代劇としての体裁は保ったものの、オリジナル版のファンからは「東宝は勝新と大映に謝れ!」という声が上がるほどのクオリティーだった。

「これが最後の座頭市」と銘打って公開されたものの、全国238館で公開されたにも関わらず、初日2日間の動員は約7万人、興行収入は1億円にも届かない8512万円。最終的に2億7000万円という大爆死。香取にとっても、メガホンを取った阪本順治にとっても“黒歴史”となってしまった。

その後、座頭市を題材とした映画作品は製作されていない。それは、映像化権が著作権者である子母澤寛の遺族に戻ったこと以上に、「この題材で勝新を超えることは不可能」と、全ての映画人が知ってしまったことが理由だろう。

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