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2023年民放ドラマ表彰式(1)最優秀主演男優賞にふさわしい俳優は? 誰もが認める名演を披露したのは?

text by 寺島武志

2023年も残すところ僅かということで、今回は2023年の民放ドラマ作品を振り返る「映画チャンネル ドラマアカデミー賞」を開催。「主演男優賞」、「主演女優賞」、「助演男優賞」、「助演女優賞」、「新人賞」、「脚本賞」、「主題歌賞」の7部門から映画チャンネルが独断で選出。今回は今年もっとも輝いた主演男優を選出する。(文・寺島武志)

「主演男優賞」
堺雅人『VIVANT』(TBS系)

『VIVANT』第4話より©TBS
堺雅人VIVANT第4話より©TBS

【他のノミネート】

鈴木亮平(TBS系『下剋上球児』)
中村倫也(テレビ朝日系『ハヤブサ消防団』)
山田裕貴(TBS系『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』)
草彅剛(フジテレビ系『罠の戦争』)

【授賞理由】

『VIVANT』(TBS系)は、ドラマファン以外の視聴者も取り込み、最終回に記録した最高視聴率は19.6%、平均視聴率でも14.3%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)だった。2023年、民放で放送された連続ドラマでは間違いなくナンバーワンの評価を得た作品だろう。

日本の商社・丸菱商事の課長にして、裏の顔は「別班」と呼ばれる、身分を偽装した上で国内外でスパイ活動を行う自衛官である乃木憂助(堺雅人)が、会社で起きた誤送金事件をきっかけに、中央アジアの架空の国・バルカ共和国で、大いなる渦に巻き込まれる壮大なストーリーだ。

乃木を演じた堺は、同枠で放送されたヒットドラマ『半沢直樹』(2013)でも主演し、「やられたらやり返す、倍返しだ」のフレーズとともに、本人の代表作でもある。反面、堺に半沢直樹のイメージが染みついてしまったのも、また事実。

しかし、『半沢直樹』でも本作でもプロデューサーを務めた福澤克雄は、主役に堺を指名する。そして、その期待に応えるように堺は、一見、気弱そうな普通のサラリーマンが、裏では任務のためには人を平気で殺める二面性を持ったキャラクターを完璧に演じ分けてみせた。

また本作には乃木の二重人格を可視化したような“分身”である幻の登場人物「F」も登場し、実際に存在する乃木との会話劇を繰り広げ、またある時は、乃木の行動に影響を及ぼす。

本作のヒットは、様々な考察を視聴者に託す複雑なシナリオのみならず、場面場面に応じた堺の演技によるところも大きいだろう。普段は優しい男が、実は悪魔的な一面を持ち合わせているというキャラクターは、彼ならではの演技力がいかんなく発揮されたといっていいだろう。

(文・寺島武志)

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