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キャラクターの細やかな感情の機微を見事に表現

映画『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』【公式インスタグラムより】
映画チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~公式インスタグラムより

2020年10月より放送された実写ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)。心を読める魔法を手にした安達と、彼に恋心を抱く黒沢の純愛ラブストーリーを繊細に描き、不思議な魔法が巻き起こす二人の恋模様は多くの視聴者を魅了している。その人気ぶりが勢いを増し続けるなか続編となる映画が2022年4月に劇場公開された。

ドラマ、映画を通して俳優の演技にも注目が集まり、赤楚演じる安達は気遣いや優しさのなかに可愛さが溢れ出す。瞳の輝きからも感じられるが、安達の成長や黒沢に惹かれていく気持ちの変化を繊細に演じ、赤楚ならではのナチュラルな深みや声の心地良さも光る。

町田演じる黒沢は、容姿だけでなく立ち振る舞いも美しく、さりげない品の良さからも黒沢らしさが伝わる。意外な心の声や妄想が面白くもあり、そのなかで時折り切ない表情も見せている。感情を隠して笑みを浮かべる場面や安達のことになると必死になってしまう姿も印象深く、黒沢の安達への想いの深さを随所で見せた。

本作では黒沢に惹かれていく安達の気持ちを描く一方で、黒沢の切ない7年間の片想いの背景も見えてくる。後に安達への想いが叶って黒沢が幸せそうな顔をしていると「黒沢本当によかったね」とファンが微笑ましく感じているのも『チェリまほ』の特徴だと言える。

安達にとっても黒沢は自分が変わるきっかけとなった特別な存在で、真っ直ぐで誠実な黒沢の想いを知れば知るほどに惹かれていくのだ。

ドラマでは丁寧に作り上げられた安達と黒沢のシーンひとつひとつ全てが見どころで、例えばドラマ第6話、第7話の告白にまつわる場面や、第11話、第12話での選択、溢れ出す感情は視聴者の心を激しく揺さぶっている。

黒沢の告白シーンは、本当に告げずにはいられなかった切実な想いが彼の声、息遣い、表情、全身から伝わる。一秒たりとも目が離せないし瞬きすら忘れてしまう。安達の表情を見て引き下がる黒沢に胸が締め付けられる人も多いだろう。

安達はどうしたらいいのか分からず何も返せずにいたが、自分の気持ちに向き合ってからは一刻も早く黒沢に伝えたい想いが止まらなくなる。安達と黒沢の想いが交差するこちらのシーンは非常に美しくもあり、人々の心に響くものとなった。

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