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女性キャラクターが読者の“萌え”を代弁

『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』【原作者:豊田悠の公式インスタグラムより】
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい原作者豊田悠の公式インスタグラムより

安達と黒沢のキャラクターが光るなか、本作には安達の親友・柘植将人やダンサー志望の綿矢湊、安達と黒沢の職場の六角祐太、藤崎 希、朝比奈といった個性豊かなキャラクターが登場している。それぞれの視点も興味深い。

例えば藤崎に注目してみると、黒沢のライバルになるのかと思いきや、BLを愛する彼女は“くろあだ”(黒沢×安達)をカプ推ししている。しかも安達は揺らぎながらも黒沢のことで頭がいっぱいなので、この恋愛フラグは折れるのだ。

藤崎は一貫して控えめな推し方で、慎ましくありながらも卓越した妄想力を発揮するなど“オタクの鑑”のような存在。絶妙な距離感を保つ彼女は多くの読者から崇められている。BL作品においてメインカップルに絡む女性キャラクターがこれほどまでに読者から共感を得ることはあまりないのではないだろうか。

藤崎視点の場面では、読者と同じように安達と黒沢に悶える彼女がその“萌え”を代弁してくれるので、そこから得られる満足度も高い。黒沢の姉にしてもそうだが、本作に登場する女性たちが読者から愛されているのも特徴的と言える。

そして、安達の弟・和也の存在は安達推しのファンにとってはさらなる萌え要素となっているはず。面倒見のいい優しい兄と、兄が好きすぎる弟というたまらない構図となっている。

さらに安達の親友・柘植や、黒沢の大学時代の友人である志摩と尾上にも注目したい。安達の良さを理解する柘植が、自身の恋愛に悩むなかで親友の恋愛をどう見ているのか非常に興味深い。

志摩と尾上は黒沢と並んでいても見劣りしないぐらいのイケメンの二人だが、何よりも黒沢が大学卒業後も進んで交流していることから、彼らは信頼できる友人であるのだと嬉しくなるのだ。学生時代から黒沢を知る人物として彼らの視点も面白い。

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