「チェリまほ」は心の安定剤
安達は魔法によって聞こえてくる人々の心の声にうんざりするなかで、黒沢の心の声は「いいな」と思える特別なものとなっていた。心を読めなくなってからも、また変なこと考えてるなと思いながらいつしかそれが愛しいものとなっている。
周りが求める“黒沢優一”を装ってきた黒沢だが、可愛さや様子のおかしさなど隠れていた魅力があり、安達のことになると必死で格好悪くなってしまうのも微笑ましい。安達の前では一番格好良くいたい気持ちがあるようだが、その愛する人の前では心を許していく姿が見られる。
それでも安達のために自分だけ傷つこうとしたりするのは、黒沢のあまり変われないところだと言えそうだ。とはいえ、そんな黒沢をちゃんと見つけて救いあげてくれる安達がいるから大丈夫だとも思える。
本作は、恋愛に生きる人、趣味に打ち込む人、好きなものを追う人……様々な人たちの心に響く作品なのではと感じている。不安のなかにいるときこそ『チェリまほ』が心の安定剤となっているファンも多い。
アニメは原作に近い形で描くことができるという期待が寄せられている。黒沢の心の声や妄想の描写、アニメで見せる安達の気持ちの変化、そして安達の親友の柘植とダンサー志望の湊の恋模様も気になるところ。さらに、安達と黒沢が歌うEDテーマ曲は大注目だ。
これから始まるアニメが“初チェリまほ”という人も少なくないようなので、ぜひ原作も併せて楽しんでほしい。
(文・藤崎萌恵)
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