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日仏合作の超大作になるはずが…
駆け足で進む物語に不満が噴出

『ベルサイユのばら』(1979)

音楽を手掛けたミシェル・ルグラン【Getty Images】
音楽を手掛けたミシェルルグランGetty Images

上映時間:124分
監督:ジャック・ドゥミ
原作:池田理代子
脚本:ジャック・ドゥミ、パトリシア・ノップ
制作:アニエス・ヴァルダ
音楽:ミシェル・ルグラン
キャスト:カトリオーナ・マッコール、マーティン・ポッター、クリスティーナ・ボーム、パッツィ・ケンジット

【作品内容】

舞台は18世紀のパリ。ジャルジェ家に生まれたオスカルは、後継ぎを望む父親により、女子にも関わらず男として育てられる。武人として成長し、やがてマリー・アントワネットを護衛する近衛隊長にまで上り詰めたオスカルだったが、王妃の愛人フェルゼンに恋をしてしまう。

一方、オスカルと兄弟のように育った乳母の孫アンドレは、オスカルへの身分違いの恋に悩んでいた。やがて、時代はフランス革命に突入。オスカルたちも時代の渦へ巻き込まれていく…。

【注目ポイント】

10億円という当時では破格の制作費やベルサイユ宮殿での撮影、そして、『シェルブールの雨傘』(1963)で知られるジャック・ドゥミ監督や、フランスを代表する音楽家ミシェル・ルグランの起用と、公開当時大きな話題を呼んだ本作。

しかし、ふたを開けてみると、興行的な成功を収められなかっただけでなく、原作ファンにもそっぽを向けられ、完全に期待はずれで終わってしまった。

本作が駄作に終わった最大の原因は脚本だろう。原作とは違い、本作ではオスカルとアンドレがフランス革命で戦わないし、オスカルの死も描かれない。また、全10巻の原作をわずか2時間の尺に収めているため、どうしても全体的に駆け足になってしまっている。

ただ、本作、ベルサイユ宮殿でロケをしているだけあって、さすがに絵は美しい。とりわけ、革命当日のベルサイユの様子をワンカットで見せるシーンには、名匠ドゥミの技が光っている。今見てみると意外と面白いかもしれない。

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