不世出の映像アーティスト
スタンリー・キューブリック
「全ての試みは既に行われている。全てのストーリーが語られ、全てのシーンが既に撮影されている。それらをさらに良いものにするのが我々の仕事だ。(Everything has already been done.Every story has been told,every scene has been shot.It’s our job to do it one better.)
謎めいた映画監督スタンリー・キューブリックの映画キャリアは、同記事で取り上げた他の映画監督と比較すると短いものだ。それでも映画『シャイニング』(1980)、映画『2001年宇宙の旅』(1968)、映画『フルメタル・ジャケット』(1987)といった数々の名作を残した彼は、映画界に紛れもなく多大な影響を残した。
この名言は、少々否定的な印象を受けるかもしれない。しかし根本的な真実も潜んでいる。誰もが映画製作において「一番最初」であることを誇示したがる。何故ならほとんどのストーリーは、どれだけ表面的な変更を加えようとも既に語られたものだからだ。
重要なのは、新しいものを創造することではなく、既に人間の経験の基本を捉えているストーリーを、現代の観客のために改良することなのだ。
キューブリックの作品がいかに世界中の観客の心に深く響いたかを考慮すれば、彼のこの考え方は間違いと言うことなどできない。