7「気付いておらんだろうが人生とは不当なものだ」
『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007)
人生は公平なものではない。スネイプは人生の不平等さをその身をもって実感している人物だ。
ハリーの母親であるリリーはスネイプの学生時代の唯一の友人だった。スネイプはそんなリリーを生涯愛し続けた。しかしその想いも虚しく、ホグワーツに入学するとリリーはグリフィンドール、スネイプはスリザリンと別々の寮に振り分けられた。その後スネイプはハリーの父親・ジェームズとその友人からの虐めを受ける。
ジェームズがリリーと結婚した後のスネイプとリリーの関係についてはあまり説明がない。しかしリリーはスネイプが想いを寄せ続けるなによりも大切な存在であることに変わりはなかった。そんなリリーがヴォルデモートに殺害された後、スネイプは彼女の死から立ち直ることができなかった。
これらの境遇がヴォルデモート卿の手下として働いた彼の過ちを帳消しにする訳では決してない。しかしスネイプが一時的に不当な立場に置かれていたことは確かなことだろう。