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芸人が作ったにしては普通すぎる…? 稀代のコント師が手がけたハートフルコメディ

内村光良『ピーナッツ』(2006)

内村光良
内村光良Getty Images

監督:内村光良
脚本:内村光良、益子昌一
出演:内村光良、三村マサカズ、大竹一樹、ゴルゴ松本、レッド吉田、ふかわりょう

【作品内容】

かつて甲州最強と謳われた草野球チーム「ピーナッツ」は、今や弱小チームと化していた。そんな「ピーナッツ」を立て直そうと秋吉光一が立ち上がる。

平均年齢35歳のおじさんたちは忘れかけていた情熱を取り戻す。

【注目ポイント】

『笑う犬の生活』や『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』など、これまで数々のコント番組を手掛けてきた生粋のコント師、内村光良。そんな彼が当時出演していた深夜番組『内村プロデュース』の面々と撮った作品が、この『ピーナッツ』だ。

実は横浜映画専門学院(現:日本映画大学)を卒業しており、生粋の映画フリークという顔を持っている内村。そんな彼の「入魂」の一本だけに、公開時は大きな話題を呼び、多くのお笑いファンが映画館に詰めかけた。

では、なぜそんな作品が、よりにもよってワーストなのか。それは、本作が芸人が作ったにしては普通すぎるからだ。

確かに、草野球に情熱を注ぐおじさんたちの姿は見ていて熱くなるし、素直に応援したくもなる。ただ、物語としてはあまりにもベタすぎて、先の展開が予測できてしまうことがなんとも残念だ。

また主要キャストは内村のほか、さま~ずの2人、TIMの2人にふかわりょうと、内村と懇意のお笑い芸人で固められている。したがって、演技面にはやや難があり、所々、コントはおろか余興を見させられている気分になるのも事実。

後輩芸人を役者としてコンバートする点は初期の北野武作品と共通する。しかし、「たけし軍団」の面々を映画に登場させることで、テレビとはまったく異なる表情を引き出して見せる北野の卓越した演出力と比べるべくもなく、内村の演出は終始緊張感を欠いている。

ただ、先にも述べたように、本作は決して駄作ではない。現に放送作家の高須光聖は、「誰も傷つかない、ウッチャンらしい映画」と述べている。そういった意味で、内村のコントが好きな人や、映画を見てほっこりしたい人にはおすすめの一本だ。

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