偉大な原作ゆえに…?相次ぐ訴訟トラブル
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)
上映時間:178分
原題:The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring
製作国:アメリカ、ニュージーランド
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン
原作:J.R.R.トールキン『指輪物語』
キャスト:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リブ・タイラー、ビゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、ジョン・リス=デイビス、ビリー・ボイド、ドミニク・モナハン、オーランド・ブルーム、クリストファー・リー、ヒューゴ・ウィービング、ショーン・ビーン、イアン・ホルム、アンディ・サーキス、マートン・ソーカス、クレイグ・パーカー、ローレンス・マコール、ピーター・マッケンジー、ハリー・シンクレア、アラン・ハワード
【作品内容】
架空世界「中つ国」の種族であるホビットのフロド・バギンズ(イライジャ・ウッド)は、養父ビルボ・バギンズ(イアン・ホルム)に世界を滅ぼす魔力を秘めた“ひとつの指輪”を託される。それは、数千年前に、闇の冥王が世界を破滅させる力を封じ込めて作ったものだった。
指輪を狙う冥王サウロン(サラ・ベイカー)を滅ぼすためには、その指輪を山の火口に捨てるしか方法はない。フロド、ガンダルフ(イアン・マッケラン)、メリー(ドミニク・モナハン)、ピピン(ビリー・ボイド)、サム(ショーン・アスティン)、アラゴルン(ビゴ・モーテンセン)ら9人の旅の仲間たちは、サウロンの手下たちに追われながら、指輪を捨てる旅に出る。
【注目ポイント】
英国人作家のJ.R.R.トールキンによるファンタジー小説を原作とし、その原作本も3部作の長編作品だ。本作も2001年公開の第1作から、2002年公開の『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』、2003年公開の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』と、3作構成となっている。2022年9月には、日本公開20周年を記念した4Kリマスター版が公開されるなど、不朽の名作となっている。
また作品に登場するニュージーランドの大自然が、本作のロケ地として有名になった。
本作のトラブルは、作品の内容ではなく、原作者トールキンの遺産管理慈善団体「トールキン・トラスト」と出版社ハーパー・コリンズ社が、映画を製作したニューライン・シネマに対して、収益の7.5%が支払われていないとして裁判となった。
本作3部作の総収益は、約60億ドルと言われ、トールキン側は1.5億ドル~2.2億ドルと見られる補償金の支払いと、ワーナー・ブラザースが製作に取りかかっていた『指輪物語』の前日譚でもある『ホビットの冒険』の映画製作中止を、ロサンゼルス高等裁判所に求めた。
さらに、トールキン・トラストが、『ホビットの冒険』や『指輪物語』を基にしたオンラインカジノやスロットなどにライセンスを提供したのは契約違反だとしてワーナー・ブラザースなどを訴えていた。
いずれも和解が成立したものの、原作がある作品のキャラクターを、原作者の同意なく、版権を売りに出すことはご法度だろう。それが世界的な大ヒット作品となればなおさらだ。
日本においても、マンガなどを映画化する際、ギャンブル関連へのライセンス提供を禁止する契約を結ぶことがある。安易にパチンコ台などにコンテンツが使われることによって、その作品価値やイメージが低下することを回避するためでもある。
余談であるが、Amazonによるドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』(2022)に対し、『ロード・オブ・ザ・リング』のファンフィクション小説を書いていた作者が盗作だとトールキン・トラストとAmazonを訴える事例も発生した。この裁判は、当然というべきかファン小説の作者の訴えが退けられたが、その後、トールキン・トラスト側から反訴を受ける羽目となった。
偉大な原作であるがゆえか、何かと裁判トラブルに見舞われるいわくつきのシリーズでもある。