もっとも批判を浴びたアカデミー賞作品は? 物議をかもした映画5選。「過大評価」との声が根強い作品をセレクト
映画界最大のお祭り・アカデミー賞。オスカーを獲った作品は、後世まで語り継がれる名作として大きな名誉を得ることになる。しかし1929年から続く長い歴史のなかで「なんでこの作品が?」と議論を呼ぶ結果を生むことも。今回は歴代アカデミー賞”作品賞”受賞作から「過大評価」といわれた作品を5つご紹介する。(文・ジュウ・ショ)
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note
対抗馬に『ショーシャンクの空に』と『パルプ・フィクション』
受賞の妥当性を疑う声が未だに絶えず…。
『フォレスト・ガンプ』(1994)
上映時間:142分
原題:Forrest Gump
製作国:アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:エリック・ロス
原作: ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』
キャスト: トム・ハンクス、サリー・フィールド、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、ミケルティ・ウィリアムソン
【作品内容】
知的障害を持つフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)の生涯を描いた映画。彼はアラバマ州の小さな町で生まれ、数々の歴史的出来事に立ち会う。アメリカンフットボールの選手、ベトナム戦争の英雄、ピンポンの達人、ビジネスマンとして成功しながら、純粋な心で周りの人間と関わっていく人生を通じて、希望、愛、友情などを描いた。
【注目ポイント】
『フォレスト・ガンプ』といえば、不朽の名作として幅広い層に親しまれている。しかし「アカデミー賞にふさわしくなかったんじゃないか」という声もある。なぜなら第67回アカデミー賞のノミネート作品の面子が、あまりにもえげつないからだ。
今作以外にクエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』や、フランク・ダラボン監督『ショーシャンクの空に』がノミネートされていた。強すぎるライバル作品があったため、『フォレスト・ガンプ』くらい名作だったとしても受賞の妥当性が疑われているのである。
カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『パルプ・フィクション』は、確かにアカデミー賞とは相性が良くない印象も受ける。一方『ショーシャンクの空に』が受賞する可能性は大いにあっただろう。
ちなみに『ショーシャンクの空に』は、イギリスの放送会社・Sky UKによる2013年の投票で「アカデミー賞作品賞を受賞しなかった最も偉大な映画」に選ばれている。
また2007年の改訂版「アメリカ映画ベスト100(10周年エディション)」では、『フォレスト・ガンプ』(76位)を抑えて72位 にランクインしている。
ただしもちろん『フォレスト・ガンプ』の品質を疑うわけではない。ただ第67回アカデミー賞が当たり年すぎたのである。
毎年、「今年のオスカーはどの作品なの?」と話題になるが、今回取り上げている作品のように往々にして議論が分かれることもある。
しかし本来、映画作品の好みなんて千差万別だ。「世間の評価」以前に「自分の感性」が大切なのは間違いない。