アカデミー賞41年ぶりの快挙を達成
『カッコーの巣の上で』(1975)
上映時間:133分
製作国:アメリカ合衆国
監督:ミロス・フォアマン
脚本:ローレンス・ホーベン、ボー・ゴールドマン
キャスト:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、マイケル・ベリーマン、ウィリアム・レッドフィールド、ブラッド・ドゥーリフ
【作品内容】
暴行罪で逮捕されたランドル・P・マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は、刑務所での強制労働から逃れるため、精神疾患を装い、精神病院行きを企てる。しかし、彼が収容されたオレゴン州立病院は、患者の人格までをも統制しようとする強権的な病院だった。自由を求め、絶対権力者である婦長(ルイーズ・フレッチャー)とことあるごとに対立するマクマーフィー。その姿は、次第に生きる希望を失っていた患者たちの活力になっていく。
【注目ポイント】
管理体制に反抗する人間の尊厳と自由を描いたミロス・フォアマン監督作品。ケン・ギージーによる原作は、J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』や、ジョーゼフ・ヘラーの『キャッチ=22』と並び、1960年代のティーンのバイブルと言われている。
本作は、1976年の第48回アカデミー賞で9部門にノミネート。そして、作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞という主要5部門を総ナメにした。この記録は、『或る夜の出来事』(1934)以来、実に34年ぶりの快挙となる。
一体何が本作をそこまでの名作にしたのか。その答えは、アメリカ合衆国誕生の歴史と、ネイティブアメリカンの酋長を父に持つ入院患者チーフの存在にある。
ネイティブアメリカンは、長年にわたってヨーロッパから入植してきた白人たちの迫害に苦しんできた。こういった背景からチーフは、病院内でろうあ者を装うことで自身を押し殺してきた。
しかし、彼は、マクマーフィーと出会い、彼の自由を求める反骨精神に触発されることて、徐々にネイティブアメリカンとしてのプライドを取り戻していく。そして2人は、病院を出てカナダに行くことを約束する。
しかし、ある日、病院内で騒ぎを起こしたマクマーフィーは、職員の差し金で強制的にロボトミー手術を受けさせられてしまう。生きる屍と化したマクマーフィーを発見したチーフは、彼を殺め、病院の壁をぶち破る。
自由を求め、草原へとかけていくチーフ。このラストシーンは、抑圧された魂に訴えかけるシーンとして多くの感動を呼んだ。このシーンこそ、本作が名作である所以なのだ。