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アカデミー賞主要5部門を受賞した最初の作品

『或る夜の出来事』(1934)

映画『或る夜の出来事』(1934)のアメリカ版ポスター
映画或る夜の出来事1934のアメリカ版ポスターGetty Images

上映時間:105分
製作国:アメリカ合衆国
監督:フランク・キャプラ
脚本:ロバート・リスキン
キャスト:クラーク・ゲーブル、クローデット・コルベール、フランク・キャプラ、ウォルター・コノリー、ロスコー・カーンズ

【作品内容】

大富豪の娘エリー(クローデット・コルベール)は、父親に結婚を反対された事に怒り、父と乗っていた船から逃亡する。なんとかニューヨーク行きのバスに乗り込んだ彼女は、偶然席が隣り合わせとなった失業中の新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)と旅を共にすることとなる。道中、さまざまなトラブルに巻き込まれる2人だったが、互いに心惹かれ始めていきー。

【注目ポイント】

本作は、アメリカの作家サミュエル・ホプキンス・アダムスの小説を原作としたラブコメの古典的名作。監督は後に傑作『素晴らしき哉、人生!』(1946)を撮り上げるフランク・キャプラ。アカデミー賞の主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)にノミネートされ、5部門とも受賞を果たした最初の作品として知られる。

名匠キャプラの最高傑作と称される本作。その魅力の答えは、ひとえに展開の秀逸さにある。

本作は、いわば「ボーイ・ミーツ・ガールもの」の古典とされる作品で、億万長者の娘が父親に反発して家出をするという設定も比較的ありがちなものだ。しかし、一方で本作はスクリューボールコメディ(1930年代~40年代にハリウッドで作られたスピーディーなセリフの応酬と展開で魅せる恋愛喜劇)とロードムービーを掛け合わせたような作品になっており、結末が最後の最後まで予想できない。

また、恋愛ものであるにもかかわらず、男女が服を脱いだりといった分かりやすいお色気シーンが全くないのも本作の特徴だろう。

序盤では、安宿に泊まったエリーとピーターが、お互いの貞操を守るため、部屋の真ん中にロープを張ってシーツを作り、「ジェリコの壁」を作るというシーンが登場する。本作では、こういった制約が、むしろお互いの想いを高めているのだ。

そういった意味で本作は、他の恋愛ものとは一線を画した世紀の名作といえるだろう。

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