「ぶっ殺すぞこの野郎!」
世界一キュートな啖呵が炸裂する痛快コメディ
『地獄の花園』(2021)
監督:関和亮
脚本:バカリズム
キャスト:永野芽郁、広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈、大島美幸
【作品内容】
OLの直子は一見何の変哲もない日々を送っている。しかし、会社では派閥争いをかけ、毎日のようにOLたちがケンカに明け暮れていた。そんなある日、直子は、転職してきたOLの蘭と親交を深めるが、彼女が実はカリスマヤンキーOLであることが判明。蘭の首を狙う、全国のOLたちは直子の会社をターゲットに定めるのだが…。
脚本家としても活躍する芸人・バカリズムのオリジナルシナリオを、Perfumeのミュージックビデオで知られる関和亮が映画化。永野をはじめ、広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈といった今を煌めく女優たちが、本格的なヤンキー役を演じたことでも話題を集めた。
【注目ポイント】
現実離れしたストーリーではあるが、初っ端から更衣室のロッカーにOLが叩きつけられるわ、スカジャンを羽織った女たちが廊下を闊歩するわ、鮮烈すぎる描写のオンパレードで、一気に引き込まれる。
永野芽郁が演じる直子は、どこの派閥にも属さない平凡なOL。彼女が過ごすほのぼのした日常と殺伐としたケンカ模様が、同じ空間で自然に同居するサマはなんともシュール。VFXをふんだんに使ったアクションシーンは見応え抜群だ。
突飛なストーリーをハイテンションな芝居と小ネタを交えて描き切るスタイルは『翔んで埼玉』(2019)を思わせる。同作が好きな人であれば、ハマること請け合いだろう。
鋭い目つきで啖呵を切り、敵に向かって拳を振るう終盤の永野の芝居は、従来のイメージとは正反対である分、シーンのインパクトを強めることに貢献している。キラキラしたイメージをあえて裏切る、鬼気迫るヤンキー芝居をものにしてみせ、役者としての幅の広さを示した一本だ。